2008年 11月 29日
鈴鹿最北端の霊仙山の東に位置するソノド(926m)という独立峰。時山集落に北から流入する藪谷と幾里谷にはさまれて南北に延びる尾根があり、その中央に座っているのがソノド。カタカナ三文字という鈴鹿には多い山名なので、イブネと同じように気になっていました。しかも、ソノド北尾根には「鹿あそび」という美しい二次林があると言います。一度訪れてみたいという思いがありました。 また、霊仙山の登山道には、有名な榑ヶ畑道、谷山谷道、西南尾根道、柏原道のほかに、藪谷道というのがあることを知りました。これは岐阜県側の時山の集落から藪谷林道を通り、藪谷を詰めて藪谷峠から谷山を経て山頂に至るものですが、現在ではほとんど歩かれておらず廃道化していると聞きました。 そこで、今回は、ソノドと霊仙山の2つをセットにして登ってみようと計画してみました。登山口は時山の藪谷林道終点。ここからソノドに登り、北尾根を歩いて、藪谷峠に出て、谷山を経由して、柏原道と合流して山頂をめざします。帰りは、藪谷峠まで引き返し、藪谷を下って、林道終点まで戻るというコース設定にしました。 午前6時京都を出発し、名神京都東インターから高速に乗り、関ヶ原インターで下り、国道365号線を南下します。長い上石津トンネルを越えて、緑の村公園を過ぎたところで、右折して時山に向かいます。時山バンガロー村を通過し、藪谷橋の手前で右手に藪谷林道の入口があります。 林道は未舗装の幅員3mほどの狭い道で、所々大きな凸凹があり、普通車であると時速20㎞程度しか出せません。左側に藪谷が流れているので転落しないように慎重に運転しなければなりません。途中にはまだ現役で活動中の炭焼き窯が2つほどありました。3㎞ほど進むと堰堤前で林道終点となり、ここに2台ほどの駐車スペースがあります。 午前8時に出発。30mほど林道を戻ったところに、藪谷に流れ込む支沢があり、この沢沿いに登っていくことになります。しばらくは、テープに導かれながら。少し荒れた沢を渡渉を繰り返しながら登っていきます。 沢は次第に広がって明るくなってきました。30分ほどすると、沢沿いに高さ1m半ほどの石積が現れてきました。これは、ワサビ田の跡なのですが、何かの遺跡を思わせるようです。ワサビの栽培が行われていた頃はワサビの瑞々しい緑も、豊富だった水も、今は消失し、石積だけの寒々とした光景になっていました。 地形図を見ると、ソノドから南西に派生する尾根(西尾根)と、南南東に派生する尾根(南尾根)があり、その間にもうひとつ支尾根(P726がある尾根)が延びています。沢を直進したり、西尾根に取り付くコースもあるようですが、ここでは沢の右手の支尾根に取り付くことにしました。右手に植林があり、この横を通過すると、窯跡があり、この手前から右に道がついていました。すぐに左に曲がると、溝のような急登になって登りにくい。やがて、左手の小さな尾根に取り付くと、黄色のテープが出てきました。このテープは支尾根に続いており、少々急登ですが、頑張って登ると、30分ほどで南支尾根に上がります。 尾根に上がると傾斜が緩やかになり、二重山稜になっているので、右側から左側に移ります。やがて左手から西尾根が合流してくると、すぐにソノドの山頂に到着しました。山頂には三等三角点がありました。国土地理院のHPから点の記を閲覧してみると、点名ソノドヲ、標高926.03m、選点:明治21年7月11日津村熊太郎、埋標:大正3年7月18日柴崎芳太郎と記されていました。劔岳に初めて三角点を埋標したあの柴崎芳太郎がソノドにも来ていたのです。 山頂は、残念ながら灌木に覆われていて、眺望はありません。20mほど東に行ったところにかつてあった反射板の跡地がありましたが、ここも眺望はよくありません。かつては、ここは霧ヶ峰と呼ばれていたそうです。 さて、ソノド山頂からは北尾根を歩きます。まずは溝状の道を下っていきます。一部ヤセ尾根があるものの、二次林の中を気持ちよく下っていきます。左手の樹間からは、霊仙山の姿を髪間見ることができます。やがて鞍部に至り、ここから登り返すことになりますが、2つ目のピークあたりにやってくると、突如として左手の視界が開けます。このあたりから広大な範囲で伐採がなれていて、霊仙山が眼前に迫ってきました。 伐採地となっているソノド北尾根には尾根沿いに鹿除けネットが張り巡らされています。ネット沿いにP908の幾里山に向かいます。途中に何がネットに引っかかっているのだろう?と近づいてみると、何と鹿の首でした。角がネットに引っかかって動けなくなり、そのまま死んでしまった鹿でした。頭部以外はもう溶けてほとんどなくなっている状態で、何とも哀れです。 幾里山周辺は、かつて「鹿あそび」と呼ばれていたそうです。二次林の雰囲気もよかったはずの鹿あそびも、今は伐採により、丸裸の無残な姿をさらしています。 幾里山を少し過ぎたところで、右に直角に曲がり、細尾根を下ります。ここにも鹿除けネットが張ってあるので、一度ネットを越えなければなりません。向こう正面に霊仙山を見ながら、ネット沿いに進みます。ふと左手を見ると、遠くに御池岳のテーブルランドがどっしりとしていて、手前にはソノド尾根とナガオ(県境尾根)に挟まれた藪谷が見えていました。 やがて林道に下ってくると、鹿除けネットの扉を2か所通行するところがありました。いずれもナイロンロープで結んであるので、解けば扉は開きました。2つ目の扉を出たところに林道が十字路になっていて、おそらくここが藪谷峠だと思います。かつては、時山から霊仙山へのハイキングコースの通過点となっていた藪谷峠も、伐採と林道建設によって全く面影をなくしてしまったとのことです。 藪谷峠からしばらく林道を進みます。この林道は柏原道と合流するものと思われましたが、その前に三等三角点のある谷山に登らなくてはなりません。多分林道の左手に取付点があるのではないかと予想して注意していると、青いひもテープがあり、ここから取り付くことにしました。テープが続いており、次第に尾根に近づくと、やはり鹿除けネットが出てきました。ネットの向こうは伐採されているようです。ネットに近い部分は少しヤブ状態になっていて、いばらがズボンに引っかかってほころびてしまいました。鹿除けネットにあまり近づかない部分を県境尾根に向かった登るのが正解だと思います。 県境尾根に出ると、左手が植林、右手が自然林になっており、尾根沿いに少し進むと、谷山の三等三角点に到達しましたが、眺望はありません。点の記によると、点名:谷山、標高992.77m、選点:明治23年4月30日、いずれも古田盛作となっています。この古田は、小説「点の記」の中で柴崎が教えを請いに行った先輩(陸地測量部三角科の主)として登場していて、柴崎が設置する以前の劔岳周辺の三角点はほとんど古田により選点、埋標されています。 谷山からは、県境を外れて、西尾根に下っていきます。すぐに石灰岩のある展望地に出てきますが、ここから霊仙山の眺望が開け、これから登っていく登山道が笹原の中に見えています。さらに、苔のむした石灰岩のある自然林の中を下り、鞍部に到着しました。ここが四丁横崖というところで、柏原道との合流点でした。 四丁横崖には、柏原道と谷山谷道とが合流してきているので、ここからは以前に歩いたことがある道です。すぐに9合目という標識があり、笹原の中に切り開かれた道を登っていきます。結構急坂で補助ロープもありますが、前日の雨でぬかるんで滑りやすい。途中で振り返ると、今下りてきた谷山が見えます。まもなく、避難小屋の横を通過すると、前方に石灰岩が露出した経塚山(北霊仙山)、そしてその向こうに霊仙山の三角点峰が見えてきました。 5分ほどで石灰石の散乱する経塚山に到着しました。ここで一息入れて、霊仙山の三角点峰、次いで最高点をめざして周回してきます。 三角点峰へは、一旦笹原の道を鞍部まで下り、登り返します。15分ほどで霊仙山の山頂に着きました。山頂には二等三角点がありました。点名:霊仙山、選点:明治20年7月23日、埋標:昭和51年10月27日で、戦後に新しく埋標されている石柱でした。山頂は晴れてはいましたが、遠くは少し霞んでおり、伊吹山は残念ながら雲がかかって山頂が見えませんでした。 さて、つぎに最高点(1094m)に移動します。三角点峰から一旦鞍部に下り、登り直したところが最高点になっています。ここから、西南尾根、御池岳や藤原岳、ソノドと三国岳が展望することができます。 さて、もう12時45分です。戻らなくてはなりません。最高点からは道のない笹原の中を経塚山に向かって真っ直ぐに戻ります。避難小屋-四丁横崖-谷山とやってきた道を辿ります。 谷山を過ぎたところで、県境尾根をもう少し行ってみると、伐採地に出てきたので、幾里山やソノドを眺望してみました。鹿あそび付近は丸刈りになっていることがわかります。 少し戻って緩斜面の自然林中を下り、林道の取付点に戻り、藪谷峠まで来ました。峠から林道を少し歩いて、藪谷に下りる道を探しましたが、それらしい道が見つかりません。とにかく藪谷に下りて、谷沿いに歩けば、元の駐車地に戻れることはわかっていましたので、伐採され若木が植林された急斜面の下りられそうな箇所を選んで下ることにしました。適当に下っていくと、小さな支沢に出たので、沢の中を歩いて下っていくと、右手から沢が合流してきました。ここが二股出合で、ちょうど鹿除けネットが設置してあるところです。ネットの扉を開けて通過すると、何やら古い標識があったので、よく見ると、「霊仙山ハイキングコース」と書いてありました。これが以前に時山から藪谷を通って霊仙山に登る登山道だったことがわかりました。しかし、今は廃道同然になっていますので、山慣れた人でないと大変なルートです。 藪谷に出ると、何度も渡渉を繰り返しながら、下っていきますが、谷には倒木があり、歩きづらい。再び鹿除けネットがあるところに道標がありました。やがて、藪谷滝にやってきました。数メートルの落差があるので、少し戻ったところに杉の木立があり、ここから左岸を高巻く道がついていました。 再び谷の中を歩きながら、何度も渡渉を繰り返します。次第に、右岸に高巻き道になり、かなり急な崖になっていて滑り落ちないように注意しなければなりません。このあたりから雨がぽつぽつと落ちてきました。次第に大粒の雨となり、高巻き道から沢に下ったので傘を差すことにしました。雨が小降りになったところで前方に堰堤が見えてきて、駐車地に戻ってきました。 <コースタイム>081129晴れ後曇り、雨 800藪谷林道終点 835ワサビ田跡 910ソノド南支尾根 920ソノド940 1020幾里山 1045藪谷峠 1115谷山 1130四丁横崖 1145避難小屋 1150経塚山 1205霊仙山 1230最高点1245 1300経塚山 1315四丁横崖 1325谷山 1340藪谷峠 1410二俣合流 1435藪谷滝 1530藪谷林道終点
by kitayama-walk
| 2008-11-29 23:36
| 鈴鹿山系
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