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2008年 06月 14日
これまで一度は登ってみたいと思いながら果たせなかった三周ヶ岳と夜叉ヶ池-泉鏡花の「夜叉ヶ池」や龍神伝説を思うと、神秘的な池と山にチャレンジしてみたいと思いました。時期は山開き直後の6月中旬がベストということで、ちょうど梅雨の晴れ間に当たった6月14日に、福井県側の広野ダムから入る岩谷川登山口から登ってみることにしました。 「花は人の目を誘ふ 水は人の心を引く 君も夜叉ヶ池を見に来たと云ふ」-まさにこの心境に誘われての登山となりました。新緑の登山道を登り、夜叉ヶ滝、トチの大木を経て、ヤシャゲンゴロウの棲む夜叉ヶ池に辿り着きました。池の稜線にはニッコウキスゲの花が咲き乱れていました。夜叉ヶ池から三周ヶ岳までは藪漕ぎをしながら1時間余りの道程でした。 ![]() 午前6時過ぎに京都を出発し、名神・北陸道を経由して、今庄ICでおり、国道365号線を南下し、JR今庄駅を過ぎたところで左折し、日野川に沿って広野ダムをめざしました。広野ダムには、夜叉ヶ池登山口の標識があり、これに従って岩谷川に沿って林道を走りました。途中1.7㎞ほど未舗装部分がありますが、青少年旅行村を通過して、午前8時20分に登山口に到着しました。 ![]() 登山口には10台ほどの車の駐車スペースがあり(手前にも駐車スペースがあり、紅葉のシーズンには5、60台も駐まるそうです)、立派なトイレと水場が設けてありました。到着時にはすでに10台ほどの車が停まっており、ほぼ満車状態でしたが、何とか車を駐めることができました。まず目に入ったのは、樹齢400年というカツラの巨樹でした。駐車場の奥に夜叉龍神社の鳥居があり、その脇に「幽幻伝説 夜叉ヶ池」の石碑が設置してあり、「花は人の目を誘ふ 水は人の心を引く 君も夜叉ヶ池を見に来たと云ふ」という泉鏡花の小説の一文が刻まれていました。 ![]() ![]() 鳥居を潜り、谷に架かる橋を渡って、左の登山道に入ります。道はすぐに登りとなりますが、谷に沿ってなだらかな道を進みます。道脇にはコアジサイの花がたくさん咲いていました。時折、ササユリの白い花も見ることができました。 ![]() ![]() 登山道を進むと「夜叉ヶ池まで2500m」という最初の標識がありました。これから夜叉ヶ池まで500mごとに標識が設置してあります。やがて左手の谷側に滝が見えてきました。これが夜叉ヶ滝です。滝の元に下りていく道があるかと探しましたが、発見できず、登山道から眺めるほかありませんでした。 ![]() ![]() 夜叉ヶ滝を過ぎると、谷を2回渡ることになります。いずれも木製の橋が架けられていました。この辺りは背丈を超すほどのハナウドが群生していました。やがて、右手に「森の巨人たち100選 岩谷のトチノキ」と書かれた説明板がありました。この巨樹を鑑賞するための道がつけられていたので、ちょっと寄り道することにしました。巨樹に見えるのは2本で、そのうちの大きい方は樹齢300年、高さ35m、幹周10mと書かれていました。 ![]() ![]() ![]() このトチノキの巨木のそばに最後の水場ともなる清らかな沢があり、ここから沢を離れて、本格的な急登となってきました。最初はジグザグを切りながら登っていくことになりますが、途中に苔むした倒木があるなど、新緑に覆われた道が目に眩しく映りました。 ![]() やがて尾根に出てくると、明瞭な道があり、快適に登って行けます。ブナやミズナラの木々が緑鮮やかです。「池まで1500m」の標識を過ぎると、シャクナゲの木が出てきますが、すでに花は咲き終わっていて、薄い色の新しい葉が生え出ていました。結構急な登りが続きますが、「池まで500m」付近からはさらに急登になっています。しかし、周囲のブナの樹々を見ているとしんどさも忘れさせてくれました。 ![]() ![]() そして、「池まで500m」のところから急登になってきます。さらに「池まで200m」の標識のあるところで、登山道は左にカーブしてきて、傾斜も緩やかになってきました。間もなく少し下りになると、正面に夜叉ヶ池から三周ヶ岳へと続く稜線が見えてきました。やがて木道になったかと思うと、神秘の池・夜叉ヶ池がぱっと目の前に現れてきました。 ![]() ![]() 夜叉ヶ池に到着したのは9時50分でしたが、すでに10人くらいの登山者が池の周辺でくつろいでしました。夜叉ヶ池(標高1099m)は、周囲230m、面積36a、最大水深7.7m、ハマグリの貝殻の形をした池で、水位は年間差約1mでほぼ一定だそうです。注ぎ込む沢も流れ出る川もないことから、直接降り注ぐ雨の他に伏流水が池に注ぎ込み、時間をかけて蒸発したり、地中深く染み出たりしているそうです。 ![]() ![]() 池のそばには、夜叉龍神社の祠とヤシャゲンゴロウの説明が書かれた案内板がありました。ヤシャゲンゴロウは夜叉ヶ池だけに生息する固有種で、環境庁より「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づき「国内希少動植物種」に指定されているそうです(1996)。この希少な自然を保護するため、地元のボランティアがパトロールしていて、この日もパトロール員が池まで登ってきていたので、いろいろと説明を聞かせてもらいました。 ![]() ![]() 池の水は結構澄んでいて、よく見ていると、ヤシャゲンゴロウが元気に泳ぎ回っていましたが、それ以上にイモリがたくさんいました。池畔の灌木にいくつもの白い袋状のものがいくつもついていましたが、これがモリアオガエルの卵でした。パトロール員の説明では、今年は雨が少なく、モリアオガエルの卵も乾燥してしまっているとか。それで、この卵からおたまじゃくしが落ちてくるのを、この卵のある下でイモリやヤシャゲンゴロウが待ち受けているそうです。 ![]() ![]() ![]() この夜叉ヶ池は、泉鏡花の戯曲で有名になったことは知っていましたが、その話の内容は知りませんでした。「夜叉姫伝説」とは次のようなものです。その昔、美濃の国神戸に郡司安八太夫という長者がいて、たくさんの田んぼをもっていた。ある年、大変な日照りが続き、安八太夫をはじめ多くの村人たちは途方に暮れていた。信心の厚い太夫はこれを救おうと毎日お宮にお参りして願いをかけていたところ、ある日乾き切った田んぼで小さな蛇に出会った。太夫はこの蛇に向かって、「お前が雨を降らせてくれたなら、どんな願いもかなえよう」と一人ごとを言って家へ帰った。太夫が家に帰ると、不思議に待ちに待った雨が降り出した。雨は、一日中降り続き、田んぼにたっぷりと水がたまり、農作物はみんな生き返った。村人たちは小おどりして喜びあった。その喜びも束の間、雨の翌日、蛇は山伏姿になって現れ、太夫の三人娘のうち中の娘を嫁にと連れて、揖斐川をのぼっていった。泣きながらつけた紅、白粉、水鏡に映った不憫な夜叉姫の面影を太夫は忘れることができなかった。その後、安八太夫は、たびたび夜叉ヶ池を訪ね、龍神となった夜叉姫の姿を偲ぶのであった。こうしたことがあってから、日照りが続くと村人たちは、紅、白粉を土産に、龍の池、夜叉ヶ池に捧げる習わしとなったと語り伝えられている。 さて、オーバーユースの問題から池の周囲に設置された木道を通って、県境稜線に出たところ、岐阜県側の池ノ又谷ルートからたくさんの登山者が登ってくるのが見えました。この稜線を南に向かえば夜叉ヶ池山を経て三国岳(1209m)に通じています。夜叉ヶ池山までは岩稜の急登になっていますが、左手の斜面にはニッコウキスゲの花がたくさん咲き乱れており、今がピークなのかと思われました。その他にもアザミやイブキトラオノなどの花も見ることができました。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 急坂を登っていきながら振り返ると、次第に神秘的な夜叉ヶ池の全貌が見えてきて、その向こうに三周ヶ岳に伸びる稜線とその先に三周ヶ岳の姿がありました。左手をみると、何やら機械のようなものが設置してあるので、何かと思ったら、これはカメラでインターネットでライブ画像を送信しているということでした。 ![]() ![]() 10分ほどで夜叉ヶ池山に到着しましたが、ここには先客のグループがいて、早い昼食をとっている最中でした。ここから三国岳までは、漕ぎ甲斐のある激藪コースのようで、近畿百名山の中では最も登りにくい山のひとつと言われているようです。今日は三周ヶ岳が目的なので、三国岳はあきらめて、夜叉ヶ池山から引き返して、今度は三周ヶ岳をめざすことにしました。 こちらも最初から急登になっています。最初のピークの手前から振り返ると、先ほど登った夜叉ヶ池山への稜線と夜叉ヶ池がよく見えています。 ![]() ピークを越えると、下りとなりますが、いきなり藪漕ぎの中に突っ込んでいくことになりました。今日は覚悟の藪漕ぎです。すぐに2つ目のピークがやってきました。ここからは展望がよく、岩稜、P1252、そして三周ヶ岳へと続く稜線が見えています。 ![]() まずは岩稜を2つ越えていくことになりますが、いずれも右側を回るようにして越えていきます。岩場を登っていくと、小さなピンクの花をつけたアカモノ(イワハゼ)が目に入ってきました。 ![]() ![]() ![]() 岩稜を越えると、再び藪漕ぎの中に入っていきます。やがてP1252の左側を越えると、次のピークにやってきました。ここからは三周ヶ岳がよく見えてきます。その右の奥には能郷白山の姿も見えています。 ![]() ![]() 顔のあたりまである藪を漕ぎながら、鞍部に下り、再び登り返していきます。もう目の前に三周ヶ岳のこんもりとした姿が見えています。そろそろかなと思っていると、藪漕ぎからいきなり小さな広場に出ました。そこには10人くらいの登山者がいて昼食タイムになっていました。中心に一等三角点があり、ここが三周ヶ岳であることがわかりました。 ![]() ![]() ![]() 三周ヶ岳山頂には三角点以外には何もなかったのですが、登山者が次々とやってきて、所狭しとなっていました。普段は閑散としている山頂も、今日ばかりはよく賑わっていたようです。山頂からの展望はあまりよくなかったのですが、それでも東北方面に能郷白山を見ることができました。 ![]() 山頂で昼食タイムにして、2、3人の登山者とワイワイと山の話をしながら、昼ごはんを食べました。結構楽しい時間が過ごせたことに満足して、帰路につきました。 ![]() ![]() <コースタイム>080614晴れ時々曇り 830岩谷川登山口 845夜叉ケ滝 850トチの木 950夜叉ヶ池 1010夜叉ヶ池山 1040夜叉ヶ池 1130▲三周ヶ岳(昼食)1230発 1320夜叉ヶ池1345発 1430登山口
by kitayama-walk
| 2008-06-14 23:58
| 湖北・福井・美濃・飛騨・加賀
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