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山好き的日々@京都北山

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2007年 12月 02日

お金明神参詣山行

 HPや雑誌などで時々見かける天狗の面をした大きな磐座(お金明神)の写真が脳裏に焼き付いていて、一度参拝してみたいと思っていました。少し調べてみると、滋賀県永源寺ダム沿いの佐目集落(昔の集落はダム湖に沈んでいます)があり、「お金村」とか「金ノ村」とも呼ばれ、鉱山と深い関わりのある村人が住んでいたそうです。集落には若宮八幡神社があり、その境内には若宮八幡宮と塔尾金明神(お金明神)の二つが合祀されています。村人たちは、佐目子谷-拝坂尻(かいさか)-小峠-ハチス谷-水舟ノ池-大峠-北谷尻谷(きたたんじりだに)-コリカキ場という長い道のりを経て、山深いところにあるお金明神の山宮へ参拝していたそうです。このお金明神が、巨大な磐を積み重ねた、天狗の面をした奇岩の塔(お金の塔)と言われているのです。
 
 先月、銚子ヶ口からイブネに縦走したとき、水舟の池の近くの大峠に「北谷尻谷を経てコリカキ場」という道標がありました。このコリカキ場というのが一体何なのか興味津々でした。これも調べてみると、コリカキ場とは「垢離掻場」と書くそうで、佐目集落からの参拝者が汗を流して身を清める禊ぎの場所という意味ということです。写真で見る限りでは、北谷尻谷が上谷尻谷と下谷尻谷に流れ込むところで、小さな二筋の滝が流れ落ちていました。

 ただ、滋賀県の佐目子谷からのルートではあまりに長時間を要することになり、かつ道も不鮮明ということから、むしろ三重県の朝明渓谷から中峠越えで入るとお金明神まで2時間ほどの行程であるということから、このルートを辿ることにしました。計画したルートは、朝明駐車場-中峠-大瀞-お金明神-作の峰-お金峠-コリカキ場-ワサビ峠-オゾ谷-タケ谷-根の平峠-朝明駐車場です。
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 天狗の面をした奇岩-お金明神の磐座(お金の塔)



 12月に入ると、滋賀県側から三重県側に越える峠の鈴鹿スカイラインと鞍掛峠は閉鎖されているかも知れないという思いから、安全策として、関ヶ原から国道365号、306号経由で朝明渓谷に向かうことにしました(結果的には、この日は鈴鹿スカイラインは閉鎖、鞍掛峠は通行可でした)。午前6時半に自宅を出発し、朝明駐車場に着いたのは午前8時半でした。ここに来るのは3年前に釈迦ヶ岳に登ったとき以来です。紅葉のシーズンが終わったからでしょうか、駐車場には5、6台の車しか停まっていません。しかし、付近のもみじはまだ紅葉していてきれいでした。
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 見返橋にある案内板-登山基地になっています 

 身支度を整えて、見返橋を渡り、朝明川に沿い、舗装された道を進んで行くと、「朝明渓谷」の石碑がありました。道路沿いには、ロッジやキャンプ場があり、夏から秋にかけて賑わったのでしょうが、今は静かに冬を迎えつつあります。
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 やがて根の平峠への分岐を見送ると、砂防学習ゾーンが見えてきました。車はここまで入ることができます。間もなくハト峰と中峠の分岐にさしかかります。
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 この分岐を中峠方面に向かいます。すぐに朝明川を横切り、小さな沢を渡ると中峠への道標プレートがあります。
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 これに従い、少し登ったり、沢を渡ったり、下ったりしながら、道なりに進むと、やがて10mくらいの滝が見えてきました。曙滝と呼ばれていますが、この時期、水量が少なく細い一筋になって落ちていました。
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 水量があまりない曙滝

 この滝の右岸に渡り、ガレ沢を急登し、途中で左斜面に取り付いて登っていくと、曙滝の上部に出てきます。ここからは、かなり急な登りとなり、汗をかきながら登っていくと、やがてササの堀割状の道となり、中峠に到着しました。
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 中峠から北に向かえば金山を経てハト峰へ、南に向かえば水晶岳を経て根の平峠に至ります。峠から西を見やると、正面にクラシの尾根が見えています。
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 正面に見えるのがクラシ
 
 中峠で小休止の後、西の下水晶谷を下りました。道ははっきりとしていて、3カ所くらいの涸れ沢を横切りながら下っていくと、下水晶谷(愛知川の上流にあたる神崎川)に出合いました。
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 下水晶谷を下っています

 ここが大瀞と呼ばれるところで、谷には鉄橋は架かっていました。橋はかなり古くなっているようで、「通行禁止」の看板が取り付けられていました。少し傾いていましたが、慎重に渡りました。
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 大瀞の橋を渡って右折し、神崎川の左岸を下っていくことになります。すぐに平坦なところに出ますが、ここには小屋跡、窯跡、そして右手に比較的新しいお地蔵様がありました。
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 平坦な林は実に気持ちよい
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 新しいお地蔵様がぽつんと立っています

 道は、比較的平坦なところを進んで行きます。途中に何カ所か窯跡があり、溝状の道となり、緩く下っていくと、岩が出てくる道となります。やがて涸れた谷(これがお金谷)を上に回り込んで渡ります。
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 昔の窯跡があります
 
 このお金谷を渡ると、すぐにHPで見覚えのあるプレートが2枚見つかりました。1枚には「ここはお金明神登拝口」と書いてあり、「H16.11.10オクムラ」とありました。これは有名な奥村光信氏のプレートです。もう1枚には、「お金の塔登山口30分→」と記してありました。ここがお金明神への登り口であることは間違いありません。
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 プレートの右側に尾根があったので、これを登っていきました。目印のテープも見つからなかったものの、尾根を登れば、そのうちお金明神の磐座に着くだろうと軽く考えていました。尾根の勾配はやがて急になり、しんどいのをこらえて登っていくと、緩やかになり、尾根の頂のようなところから、少し下ったところにテープが見つかりました。このテープに従って行くと鞍部に出て、今度は登っていくようなので、行き過ぎたのではないかと思い、一旦引き返しました。すると、先ほどテープの見つかったところから、斜面を下る道があったので、これを下るとお金の塔が見つかりました。本来は、お金谷に沿って登り、途中から左岸の山腹をトラバースして登っていくと比較的簡単に見つかるようです。今回は、比較的簡単に見つけることができましたが、ちょうど出会った登山者に聞くと、最初は4回も5回も尾根周辺を往復したやっと見つけたとか。結構探し当てるのに苦労されているようです。それだけにお金明神様のありがたさが分かるというものですね。
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 ちょうど日が照ってきて、後光が差しているように見えて、ありがたい思いがしました。しばらくは、この磐座の周辺を回って、子細に観察してみました。「古来よりここはお金の森とあがめ、塔尾金大明神様の神域です。書き記した掲示等一切を禁じます。滋賀県永源寺町大字佐目大字相谷」と書いてあります。
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 磐座を側面から見ると、確かに積み重なった岩が天狗の面に見えます。この磐座の下部から見上げて見ると、岩の厚みがなく、細いものであることが分かります。
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 下から見上げると岩に厚みがないことが分かります 

 また、磐座の中程に登ってみると、小さな鳥居形にたくさんのお賽銭が散らばっていました。私も賽銭を出し、本日の安全登山を祈願しました。
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 お金明神に参拝した後は、少し引き返すと、鞍部のようなところにから斜面に取り付き、かすかな踏み跡を頼りに登っていきます。やがて尾根に出たかと思うと、ここがお金峠でした。ここから尾根を少し北に行ったところに作ノ峰と呼ばれるピークがあるので、これを探しに行きました。5分ほどで山頂らしいところに着いたので、お金峠まで引き返すことにします。
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 お金峠から小作の峰、作の峰、高岩と縦走し、ワサビ峠に至る尾根歩きのコースもありますが、今回はここから谷尻谷(たんじりたに)に下ることにしました。涸れた沢を急降下していくと、20分ほどで谷尻谷に出合いました。
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 北谷尻谷が合流している場所を探すと、2筋の小滝が流れ落ちているところが見つかりました。ここがコリカキ場(垢離掻場)です。佐目からやってきた村人は、ここで身を清めたと言われ、神聖な禊ぎの場所でもあります。谷尻谷の穏やかな流れと大きな石が点在する谷、周囲の落ち着いた自然林が醸し出す何とも言えない雰囲気のするところです。まさに鈴鹿の桃源郷とでも言うべきところだと思います。ここで昼食タイムにしました。
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 神聖な雰囲気のするコリカキ場

 コリカキ場からは、上谷尻谷の右岸に歩きます。特に道はないのですが、平坦なところなので自由に歩けるのがまた格別です。昔のトロッコ線路敷の名残があったりして結構おもしろいところです。やがて、上谷尻谷を何度か渡渉しますが、マンガン鉱山の採掘のための鉄材のようなものが残っていました。
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 上谷尻谷は谷床が浅いので渡渉と言っても、これといった労力もないので、ワサビ谷出合をついつい行き過ぎてしまいます。谷がほぼ直角に右手に曲がっているところにテープの目印がたくさんついています。ここからワサビ谷に入ります。
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 最初に少し流れがありますが、やがて涸れ谷となり、自然林の中の沢中を上がっていきます。特に迷うようなことはありませんが、上部を見ると明るくなっているので、そこをめざしてどんどんと登っていきます。結構きつい登りなので、息が切れてきます。
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 ワサビ峠に着くと、ここは尾根の鞍部になっていることがすぐに分かる地形でした。左はお金峠からやってきている尾根で小作の峰、作の峰、高岩と続いてきています。右の尾根はクラシへと続いています。ワサビ峠からは直進して谷に下りて行きます。見るからに急な下りになっていますが、踏み跡があります。沢中よりも左手の山腹を下った方が楽です。

 15分ほどでクラシ登り口に着きますが、この手前に奥村氏の「ワサビ峠」のプレートがありました。奥村氏自身は、ワサビ峠の位置は先ほどの箇所と認識されていますので、このプレートは誰かによって移動されたのでしょうか? このクラシ登り口には、「クラシ80分」「左クラシ:右ワサビ峠」という2枚のプレートがあります。いつか、このルートからクラシ・イブネに行ってみたいものです。
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 さて、ここからはオゾ谷に入り、谷が広くなってきます。最初は何度か渡渉しますが、やがて沢を離れて左岸に上がっていきます。すると、石垣が出てきました。これはかつてのマンガン試練場の跡地のようです。
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 さらにどんどんと下っていくと、溝状の道となってきたかと思うと、神崎川(愛知川)に出合いました。ちょっと河原に下りて景色を眺めると、上流も下流も大きな石がたくさんありました。
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 オゾ谷出合からは、神崎川の左岸を高巻くように登山道がつけられています。この一般登山道がしっかりとしています。クラシ谷を通過すると、やがて神崎川の河原に下りてきます。対岸を見ると、テープの目印があり、ここから対岸に登って行きます。ここがタケ谷の出合になります。
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 タケ谷出合からは根の平峠をめざします。この道はしっかりとした一般登山道なので、安心して歩くことができます。30分足らずで根の平峠に着きました。ここは、滋賀県と三重県の県境で標高803mです。いわゆる「千草街道」の一部を構成する峠で、かつては集落もあったと言われています。北に行けば水晶岳、中峠、金山、ハト峰峠に至り、南に行けば国見岳、御在所岳に至ります。
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 根の平峠からは、車を置いている朝明渓谷に下ることにしました。最初は山道ですが、やがて堤防に出てきます。ここからは、釈迦ヶ岳の頭が見えていました。
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 釈迦ヶ岳のシルエット

 あとはどんどんと下っていくと、伊勢谷小屋の近くに出てきました。あとは、ゆっくり歩いて駐車場まで戻りました。
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 左向こうに鎌ヶ岳、右向こうに御在所岳のシルエット
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 釈迦ヶ岳のシルエット
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<コースタイム>071202晴れ時々くもり
845朝明駐車場 900中峠分岐 940中峠 1010大瀞橋 1035お金明神登拝口 
1055お金明神1115発 1130お金峠 1140塔の峰 1150お金峠 1210コリカキ場(昼食)1300発 1315ワサビ谷出合 1330ワサビ峠1340発 1355クラシ登り口 1415オゾ谷出合 1435タケ谷出合 1500根の平峠 1550朝明駐車場


by kitayama-walk | 2007-12-02 23:03 | 鈴鹿山系


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