2007年 08月 26日
京都から最も近い百名山は、滋賀県の最高峰・伊吹山(1377m)ですが、実はこの山には、伊吹山ドライブウェイで山頂駐車場まで行き、そこから登ったことと、北尾根を御座峰、大禿山、国見山へと縦走したことがあるだけで、最もポピュラーな夏山登山道を登ったことがありませんでした。また、初夏には山頂一面をお花畑が覆い、たくさんの高山植物が楽しめるという人気の山であることから、花の季節である7月に登ろうと考えていました。 ところが、梅雨の季節でなかなかよい天候に恵まれなかったことから延び延びとなっていました。梅雨が明けると天候も安定してきたのですが、炎天下の登山道はほとんど日陰のないコースなので、夜間登山(涼しい夜間に登り、山頂小屋で仮眠をとり、ご来光を拝んで下山する)にしようかどうか迷っていました。しかし、せっかく陽の当たるときに登山するのですから、暑くても頑張って登ることにしました。 午前7時に自宅を車で出発し、京都東インターから名神高速を飛ばし、関ヶ原インターで下り、午前8時に登山口に到着しました。登山口にある三宮神社の脇にある民間の駐車場に車を停めました。 神社の横の観光案内所があり、その脇からゴンドラ乗り場に道路が続いています。 3合目まで登るゴンドラは午前8時から運転していると掲示してありましたが、自分の足だけで登らなくては意味がないので、登山口を探すと、すぐに右手に「伊吹山(百名山)登山道入口」(環境省・滋賀県)という標柱が立てられていました。登山口の標高は220mですので、山頂(1377m)までは約1150mの標高差があります。今日の天気は快晴で、伊吹山には雲もかかっていません。かなり暑くなりそうです。 まずは、樹林帯の中につけられた登山道は、道幅こそ2mくらいあるのですが、岩がごろごろと露出して歩きにくいジグザグ道でした。初夏にはシャガの白い花がたくさん咲いているということですが、もうすでに終わっていました。 スギやヒノキなどの樹林帯を20分ほど登っていくと、1合目のリフト乗り場のところに出ました。「標高420m 山頂まで5090m」と書かれた標識があります。スキーシーズンには賑わうであろう旅館や売店も閉まっていましたが、右手の方にはパラグライダーのスクール施設がありました。 リフト右手のゲレンデを斜めに横切るように登っていくと、途中に「かっとび伊吹→」と書いた立て札がありました。 何のことだろう? パラグライダーの施設かな?と思っていると、所々(各合目)に係員のような人が数名立っていたので、「今日は何かあるのですか?」と聞いてみました。すると、今日は伊吹山登山マラソンである「夢高原かっとび伊吹2007」の大会が開催されるというのです。この炎天下の登山マラソンでは、熱中症が心配だと思いながらも、自分も熱中症にならないように早めに水分補給するように誓いました。 さらに登っていくと、次第に展望が開けてきて気持ちがよくなります。右に少し回り込むようになり、低木の中に入ると2合目を通過します。間もなく再び草原の道になり、道脇にはイブキフウロやツリガネニンジンなどの花が見られるようになってきました。3合目手前までやってくると、目の前に伊吹山のどっしりとした山容が現れてきました。まさに圧倒的な迫力で山が迫ってくるようでうれしくなってしまいます。 3合目には、ゴンドラの山頂駅があり、伊吹高原ホテルという立派な施設が建っています。登山口からゴンドラを利用すると1時間ほどの時間短縮になります。3合目周辺は傾斜も緩く公園のようになっていて、立派なトイレも設けられていました。この辺りは、冬にはスキーで賑わうところでしょう。 正面に伊吹山を見ながら直進すると、間もなく左手のリフトの上部に着きます。このリフト台の下が日陰となっていて、涼しい風も吹いてきているので、休憩するにはちょうどよい場所になっていて、すでに何人かが休んでいました。ここから右に折れると、急な登りとなり本格的な登山道に入ります。石灰岩のゴツゴツした道で少し歩きにくいけれど、すぐに5合目に着きました。 ここにはベンチやトイレがあり、何とドリンクの自動販売機までありました。ここには、かっとび伊吹の係員が10名くらいいて、参加者の世話をするようです。間もなくスタートするということでした。参加者は1000人を超えるというので、そんな大集団が登ってくると大変だということで、水分補給はたっぷりとしたものの、休憩も取らずに先を急ぎました。 5合目からは、山頂がよく見える登山道になっているので、頂上を仰ぎながらジグザグになった山道を登っていきます。 5合目のすぐ上には新しい避難小屋も設けられています。 この辺りで後ろからやってきた20台の若者男3人組に追い越されたので、遅れないように着いていきます。6合目を過ぎた辺りから傾斜が急になり、7合目からはさらにきつくなってきました。 7合目で振り返ると、登ってきた登山道が小さく見えます。かっとび伊吹の係員に聞くと、あと20分ほどで先頭ランナーがやってくると言います。先ほどの若者3人組がここで大休止しているのを見送り、先を急ぎました。 石灰岩の露出した登山道はジグザグを重ねながら、どんどんと高度を上げていきます。8合目の標識も通過し、道端には高山植物が色々と咲いているのを見やりながら、先に進みました。見上げると、もうすぐ山頂も近いことがわかり、頑張ろうという気になってきます。 やがて9合目の標識にたどり着きました。ここまで来ると傾斜が緩やかとなり、登山道の両側にお花畑が広がるようになってきました。伊吹特有のサラシナショウマの群生が目を引きます。 5分ほど進むと、山頂の観光山小屋や売店などが見えてきました。今日は、かっとび伊吹のゴールが設けてあり、たくさんの人が集まってランナーの到着を待っていました。私が到着してから5分後に先頭ランナーが見事ゴールインしました。何と1時間で登ってきたそうです。喝采の拍手を送りました。 山頂は、ドライブウェイの山頂駐車場から徒歩20分で登って来られるので、この時期、たくさんの人で賑わっていました。その山頂の中央に設けられているのが日本武尊の像でした。どうして伊吹山に日本武尊の像が?というと、日本武尊が東征からの帰途、この山に妖神がいると聞き、これを退治しようと登ったところ、その化身の大蛇の毒に当てられ、麓の醒ヶ井の水を飲んで毒から醒めたが、ついに伊勢で亡くなったという伝説があることから、伊吹山頂に石像が建っているということでした。しかし、この石像を見る限り、お世辞にも力強い尊とは言えず、むしろ滑稽なお顔をしておられました。深田久弥も「尊にお気の毒なくらいみっともない作りであるのは残念である」と書いています。 山頂はお花畑になっているのですが、まずは三角点の位置を確認することにしました。売店から少し東に行ったところの測候所施設の側に一等三角点の古い石標がありました。金属プレートの立派な説明板も設置されていました。ここから南方向の展望は抜群で、登ってきた登山道、登山口の集落、そして正面には霊仙山とその奥には鈴鹿の山々が連なっているのが見渡せることから、お昼にすることにしました。もちろん、売店で缶ビールを買ってきたことはいうまでもありません。 天気もよかったことから、ゆっくりと昼ご飯を食べ、伊吹山の展望を楽しみました。食後はお花畑の散策をすることとし、まずは東遊歩道を通って山頂駐車場歩きました。 途中には、イブキトリカブト、イブキフウロ、コイブキアザミ、ルリトラノオ、コオニユリなどの花が咲き乱れていて、特にサラシナショウマの群生は見事でした。 駐車場からは、今度は西遊歩道を上って行きました。北方面には、北尾根が延びていて、その向こうには奥美濃の山々が並んでいて、かすかに白山も展望することができました。深田久弥は「頂上ので第一の獲物は、遠く北に茜色ににじんだ純白の白山で、こんな角度からこんな美しい白山を眺めたのは初めてであった。ショウジョウバカマが雪の解け間にもう花を開いている。そのうららかな静かな山頂で過ごした1時間は、まさにこの世の極楽であった。」と書いています。深田久弥が伊吹山に登ったのは4月中旬のよく晴れた日のようです。幼い頃から見て育った白山を伊吹山から眺望して感嘆しているのは少し驚きました。 山頂では、東遊歩道から西遊歩道へと山頂のお花畑を写真を撮りながら、ゆっくりと時間をかけて一周することができました。 さて、山頂のお花畑を堪能した後は、登ってきた登山道を下ることになります。9合目の上から見下ろした景観は素晴らしく、登ってきた登山道、そして霊仙山から鈴鹿連峰が連なっていて、暫し見とれていました。 登りは急いでいたことから、登山道脇の花を十分に見られなかったので、下山時にはよく観察することにしました。登りでチェックしていて花を再度撮影しながら駆け下りたという感じです。ちょっと疲れていたのでしょうか、3合目から登山口までの距離が思ったより長く感じられました。 <コースタイム>070826快晴 820登山口 840一合目 915三合目 935五合目 1005七合目 1040▲伊吹山1420発 1450七合目 1505五合目 1515三合目 1540一合目 1550登山口 伊吹山で見かけた花
by kitayama-walk
| 2007-08-26 22:23
| 日本百名山
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