山好き的日々@京都北山

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2014年 07月 06日

百里ヶ岳-鯖街道と高島トレイル

【日 付】 2014年7月6日(日)
【天 候】 曇り後雨
【山 域】 京都北山
【メンバー】kitayama-walk(単独行)

【コース】 小入谷越(百里新道登山口)-P805-シチグレ峠-江若国境尾根出合-▲百里ヶ岳-P776-P711-木地山峠-上根来(広峯神社)-山道入口-車道出合-山道入口-根来坂-おにゅう峠-根来坂-焼尾地蔵-P596(小入谷入口)-大倉谷出合-小入谷バス停-小入谷越(駐車地)

 今は梅雨の真っ直中なので雨が降るのは仕方がない。しかし、梅雨の合間があるもので、それが週末に来て欲しいと思わずにはいられない。このところ2週連続で週末が雨で山に行けていない。今週こそはと期待した週末の日曜は曇りの天気予報である。前日の雨が残っているのでヤブこぎはごめんだ。やはり、ここは一般登山道を歩く登山にしようなどと考えていた。

 他方で、最近ほとんど行けていない京都「北山の峠」のことも考える機会があった。そこで思いついたのが百里ヶ岳だ。そこそこの標高(931m)もあり、山頂付近のブナ林はいい感じがするところだ。これに鯖街道の根来坂を組み合わせて周回するのが最も一般的なコースであり、これまで3回ほど歩いている。また同じコースではおもしろくない。根来坂は小浜から京都に越える鯖街道の峠であるが、小浜方面から越したことがない。そこで、今回は百里新道からアプローチした後、百里ヶ岳から木地山峠まで高島トレイルを歩き、木地山峠から上根来集落に下り、鯖街道を歩いて根来坂を越えてみることにした。

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 若狭の上根来から近江の木地山に越える木地山峠には地蔵の祠がある



 京都市内から百里新道の登山口である小入谷(おにゅうだに)越までは、国道367号線経由となる。大原-途中越-花折峠と進み、武奈ヶ岳登山口の坊村を過ぎた梅ノ木から久多に向かい、針畑川沿いに遡り、芦生原生林の生杉(地蔵峠)に向かう道を左手に見送ると間もなく小入谷越に到着した。京都市内からは1時間半程度で行けるところだ。今は、百里新道登山口にはしっかりとした標識があり、「中央分水嶺 高島トレイル」と記されている。ここから始まる百里新道は勝手知ったる登山道だ(8:15)。ほどよい勾配の登山道は自然林の中を登っていく。所々にブナの巨樹があり、見上げると何ともいえない安堵感がある。やがてP805とシチグレ峠のほぼ中間地点で展望が開け、正面に百里ヶ岳、右手に南谷をはさんで高島トレイルの稜線が見渡せる。それからやや下るとシチグレ峠に至った(9:15)。ここは少し左右に広がっていて以前は標識があったが、今はもうなくなっている。前に木地山から南谷を遡行し、ヤブこぎをしてシチグレ峠に至ったことを思い出す。

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 百輪新道登山口(小入谷越え)-「中央分水嶺 高島トレイル」と記されている
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 緩やかな傾斜の尾根道を辿る
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 所々にブナの木があるのがうれしい
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 正面に百里ヶ岳が見えてくる
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 南谷をはさんで向こうに高島トレイルの稜線が見える
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 シチグレ峠は静かに佇んでいた

 シチグレ峠からは傾斜が急になるが、一踏ん張りすると江若国境稜線(県境尾根)に出た。ここからは高島トレイルが左右に続いている。左に行けば根来坂に至るが、ここでは右手に向かい百里ヶ岳をめざす。おもしろくない植林帯を通過すると、正面に百里ヶ岳が迫ってくるところがある。右手には高島トレイルの駒ヶ岳(寺山)や比良山系の蛇谷ヶ峰、釣瓶岳、武奈ヶ岳などを眺望できる。やがて固定ロープが出てくるとブナ林になってくる。尾根芯を忠実に辿るのが常道であるが、山頂直下はかなり急登になっているが、少し手前で左に外れて、ブナの巨樹を探索することにした。百里ヶ岳山頂は、小浜山の会により、切り拓かれていて、以前よりも眺望がよくなっていた。若狭湾や比良山系の山々を眺望することができたが、もうアキアカネ(赤とんぼ)がたくさん飛んでいた。ここには一辺18㎝四方の立派な一等三角点があった(9:45)。

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 江若国境尾根に出ると標識が立っている(左:根来坂、右:百里ヶ岳)
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 百里ヶ岳が近くに見えてきた
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 山頂直下に近づくとブナの巨樹が出てくる
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 ブナの森がうれしい
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 ブナの巨樹を見上げる
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 山頂直下はかなり斜度がある
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 百里ヶ岳山頂には小浜山の会作成にかかる大きな標識が立っている
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 山頂からは若狭湾が展望できる
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 一等三角点がある(二等や三等の標石より大きい)
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 高島トレイルの標柱もある

 百里ヶ岳からは高島トレイルに沿って木地山峠まで歩く。山頂からP776までは下りになっているが、山頂直下のブナの純林がすばらしい。やがて杉の植林帯に入るが、右手に展望の開けるところがある。高島トレイルは、百里ヶ岳からは北上しているが、木地山峠の先の桜谷山から東に方向を変え、駒ヶ岳に向かっている。展望地からは、その稜線を眺望できる。この先は自然林の中を行くが、所々に林立しているブナを見ながら歩くと、やがて木地山峠に着いた(10:30)。この峠は、近江の朽木村木地山から若狭の小浜市上根来に越す峠である。名前の示すとおり木地師の往来した要素が濃い。木で作られた祠の中には小さな地蔵が祀られていた。少し早いが、木地山峠でランチタイムにした(11:00)。

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 木地山峠に向かうと、すぐにブナの純林がある
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 しかし、ブナ林も長くは続かない
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 高島トレイルの稜線が見える展望地
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 変形ブナがある
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 ブナの巨樹も所々にある
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 朽木木地山から小浜上根来に越す木地山峠
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 ここも高島トレイルになっている
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 味のある古い標識も健在だ
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 木造の祠には小さな地蔵が祀られている
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 本日のランチメニュー

 木地山峠から上根来に下る。この道は初めて歩く。少し下ると、ブナやトチの巨樹があり、谷に出てきた。ここは踏み跡が薄くなっていてルートミスしやすい場所だ。よく見るとこの平谷を越えて向こう側にトラバースする薄い道がついている。谷を下ってしまわず、回り込むように進むと、地形図に載っている尾根道となり、新しい標識がある。ここが「かやの峠」のようである。ここからは堀状になった道を下っていく。やがて岩小谷に出てきたが、ここには新しい標識があり、上根来を案内してくれる。ここからは谷沿いに渡渉を繰り返しながら下っていく。登山道は谷から離れて右岸を高巻くように進む。やがて目の前に人家が見えてきたかと思うと、右手に神社(広峯神社)があった。神社の前を通って下ると舗装道路に出た。上根来の登山口であった。上根来の集落には人家があったものの、人の気配が全くなく廃村のようであった(11:50)。

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 平谷に下るとトチの大木がある
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 トチの新緑に癒される
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 ここが「かやの峠」のようだ
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 堀状になった登山道をジグザグしながら下る
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 ここから谷沿いに渡渉を繰り返す
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 登山道が右岸の高巻きになってくる
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 広峯神社に下りてきた
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 上根来集落の登山口に出てきた
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 上根来(かみねごり)の集落の案内がある

 上根来集落からは、鯖街道を辿ることになる。ご存知のとおり、鯖街道というのは、若狭から京の都に鯖、カレイ、小鯛などを始めとする海産物を運んだルートである。若狭で水揚げした鯖に塩をして、人が背中に背負って2日かけて都まで運ぶと、都に着く頃にちょうどいい塩加減(塩梅)になったことから、「鯖街道」という名前がついたという。鯖街道にはいくつかのルートがあるが、その中でも最短ルートして使われたのが、小浜-遠敷-上根来-根来坂-小入谷-久多-オグロ坂-八丁平-尾越-大見-花背峠-鞍馬-出町柳というルート(全長76㎞)である。毎年5月にこのコースで「鯖街道ウルトラマラソン」が開催されている。今日は、上根来から根来坂を越え、小入谷まで歩くのだ。上根来集落の外れに登山者用の駐車場があり、ここには案内板があった(11:55)。舗装道路に歩いていくと、右手に今は廃止された畜産団地の跡があり、さらに進んでいくと、「鯖街道起点」と書かれた標識があった(12:10)。ここから山道に入るが、最初は杉の植林の中をジグザグを切りながら登っていく。周囲は自然林に変わってくるが、相変わらず登山道はつづら折れである。やがて目の前に大きな岩が出てきたが、これが「ゴザ岩」のようだ。ここから百里ヶ岳が眺望できる。ゴザ岩を通過すると未舗装の車道に合流した(12:40)。しばらくおもしろくない車道歩きを続けたが、再び山道に入った(13:00)。すぐに古井戸と地蔵を祀った祠があったが、これが「池の地蔵」だ。やがて道は深い堀状になってきた。「鯖街道の深掘れ」と呼ばれるところだ。いかにも峠に向かう道らしくなってきた。周囲はブナを始めとする広葉樹に包まれていて、いい雰囲気だ。これこそ鯖街道と呼べる峠道である。そんな古道をどんどん進んでいくと、見覚えのある広場にやってきた(13:25)。ここが根来坂だ。峠がやけに明るいと思ったら、この峠にあるブナの大木の上部が倒壊していた。以前は、ブナが枝葉を広げて木陰を作り、旅人を休ませてくれたのであろうが、今はその面影もない。地蔵堂と「大乗妙典一石一字塔」は健在であった。

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 上根来の案内板があった
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 右手に畜産団地跡が見えてきた
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 鯖街道の山道への入口
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 ジグザグを切って登る山道には巨樹もある
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 植林から自然林に変わるといい感じになる
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 「ゴザ岩」からは百里ヶ岳が望める
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 車道歩きとなる
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 再び山道への入口となる
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 古井戸と地蔵の祠があった(池の地蔵)
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 鯖街道らしい山道となってきた
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 このあたりが「鯖街道の深掘れ」なのであろうか
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 根来坂が近くなってきた
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 根来坂のブナの大木が見えてきた
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 根来坂の地蔵堂、一石一字塔、ブナの巨樹
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 上部が倒壊したブナの大木
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 これはかつてのブナの姿である
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 「大乗妙典一石一字塔」は健在だった
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 ここも高島トレイルである

 この根来坂は戦国武将の足跡があることでも知られる。信長が朝倉氏を討つために越前に侵攻した際、金ヶ崎城(敦賀)を落とし、木の芽峠を越えて越前に迫ろうとしていた。ところが、信長の妹(お市の方)婿で同盟関係にあった浅井長政が離反して朝倉方に味方したため、信長は朝倉と浅井の挟撃を受けることになった。このとき、お市の方が両端を紐で結んだ小豆袋を信長に送り、長政の裏切りを知らせたと言う逸話が知られている。信長は退路を断たれることを恐れ、急遽退却する決意をし、殿(しんがり)を秀吉(一説には家康も加わった)に委ねて、自分は朽木元綱の助けを借りて、朽木から花折峠、大原を抜け、京に逃げ帰ったと言われている(「金ヶ崎の退き口」と呼ばれる戦国史上有名な信長の撤退戦である)。このときの帰還路が当時最もよく使われた針畑越=根来坂であった。さらに久多-オグロ坂-八丁平-尾越-大見-杉峠-鞍馬を抜けて大原に出たといわれている。峠の広場に腰掛けて、峠に残るブナの大木を見上げるとき、有名な戦国武将たちが駆け抜けた往時の歴史の一コマをこのブナは間近に見てきたのかと思うと、悠久の歴史に思いを馳せ、峠が歴史の証人であることを感じるのであった。

 しばらく呆然として立ちすくんでいたが、とりあえず、おにゅう峠までピストンしてくることにした。P871の展望地から若狭湾を眺めていると、おにゅう峠から単独行の男性がやってきた。今日初めて会う登山者である。聞くと三国峠から高島トレイルを歩いてきたという。おにゅう峠は、小入谷からも上根来からも車道がやってきているので、今日も何台か車があった。様子を見ただけで引き返すことにした(13:50)。このあたりから小雨が降り出した。予報より早く天気が崩れてきそうなので、早く下山することにしよう。再び根来坂まで戻ると(14:05)、小入谷に下ることにした。すぐ下に舗装された車道が見える。やがて展望が開けたかと思うと車道に合流した。そして、すぐにガードレール脇の「鯖街道」と書かれたところから山道に入り、どんどん下っていくと、再び車道に出たかと思うと、焼尾地蔵の祠があった(14:25)。しばらく車道を歩くと、「小入谷下山」と書かれた標識があり、ここからまた山道に入った。小さく掘れた山道は雨に濡れて滑りやすいので用心しながら下っていく。やがて大倉谷出合に到達し(14:40)、そのまま道なりに歩いていくと、小入谷の人家が見えてきた。小入谷バス停で左折して橋を渡り、直進していくと、堰堤のあるところから百里新道の入口に登る道がつけられていて、これを辿って駐車地に戻った(15:00)。

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 おにゅう峠まで行ってみると、車が上がってきていた
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 おにゅう峠からは、若狭湾が眺望できる
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 車道のガードレール脇から再び山道へ入る
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 焼尾地蔵のお堂がある
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 小入谷に下る案内がある(再び山道に入るところ)
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 大倉谷出合にある標識
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 大倉谷を越えて小入谷の集落に向かう
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 小入谷にはかやぶきの民家もある
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 小入谷バス停-ここで左折して橋を渡り、百里新道登山口に戻る
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 この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平20業使 第438号)
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<コースタイム>
8:15小入谷越(百里新道登山口)-9:15シチグレ峠-9:25江若国境尾根出合-9:45▲百里ヶ岳-10:30木地山峠11:00-11:50上根来(広峯神社)-12:10山道入口-12:40車道出合-13:00山道入口-13:25根来坂13:35-13:50おにゅう峠-14:05根来坂-14:25焼尾地蔵-14:40大倉谷出合-15:00小入谷越(駐車地)


by kitayama-walk | 2014-07-06 23:11 | 京都北山 | Comments(2)
Commented by ジオン at 2014-07-16 17:32 x
こんにちはやはり、、KitayamaーWalkさんだったんですね。

帰りにてんくうの湯に寄られませんでしたか?
時間的に同じくらいでした。

どうも、、kitayamaーwalkさんに似ていると思いながら
私をみても、反応がなかったので、、
違うかもと、、声をかけられませんでした。
その日はヘク谷を沢遡行してました。
Commented by kitayama-walk at 2014-07-17 01:00
 ジオンさん、どーもです。どーも失礼しました。
 ご指摘のとおり、当日は帰りにくつき温泉「てんくう」に立ち寄りました。時間的には15:40頃に着いたでしょうか。気づいていなかったので
すね。もし、声をかけていただければ、反応したはずです。結局、温泉には18時過ぎまでいました。

 ジオンさんはヘク谷遡行でしたか。ヘク谷は下坂下から入渓し、最後は小女郎池付近に出る沢ですね。安曇川水系の沢としては、奥ノ深谷
と貫井谷の二つだけ遡行したことがあります。


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