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山好き的日々@京都北山

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2008年 10月 11日

剱沢から池ノ平へ (2日目)

 裏剱への道-2日目は、いよいよ日本三大雪渓のひとつである剱沢雪渓を下り、真砂沢を経て、二股から仙人新道を登り、仙人峠から池ノ平小屋をめざします。
 
 剱沢雪渓では、10月に入ったこの時期は雪渓が最も小さくなったとはいえ、クレバスや崩壊地もあり、慎重な歩行が求められます。少なくとも軽アイゼンは必携のところでした。また、仙人新道は400mのしんどい急登になっています。
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 仙人新道から三ノ窓雪渓と紅葉の三ノ窓尾根を望む



 2日目は予報どおり朝から雨が強く降っていました。剣山荘の外は風もかなり強い。午前6時出発の予定でしたが、天候が次第に回復する傾向にあるとの予報だったので、しばらく剣山荘で待機して様子を見ることにしました。しかし、雨はなかなか止みそうにありません。劔岳山頂登山を予定していた同宿の登山客は早々と撤退しました。私たちは、この日は池ノ平小屋まで行く予定だったので、遅くとも9時半には出発しないといけません。少し小降りになったのを見計らって、ガスと強風の中、剣山荘を出発し、剱沢に下ることにしました。
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 岩礫の道を下っていくと、間もなく剱沢小屋方面からの登山道に合流します。眼下には、剱沢雪渓の最上部が見えてきました。雪渓の中央部が大きな穴をあけていて、何だか吸い込まれそうでした。右手にある巻き道を進みました。
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 剱沢雪渓の最上部が見えてきました(右からは剱沢小屋からの登山道がやってきます)
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 雪渓が大きな口を開けて待っています
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雪渓の右手の巻き道を進みます(向こうには源治郎尾根、八ツ峰のマイナーピークとⅠ峰)

 やがて巻き道から雪渓の上に降りて歩くと、左手から武蔵谷、次いで平蔵谷が合流してきます。平蔵谷の北には源治郎尾根が劔岳山頂に向かって延びています。
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 雪渓の上におり、振り返ると、右手に平蔵谷があります
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 平蔵谷は劔岳直下まで延びています

 前方には、八ッ峰の鋭鋒(多分、マイナーピークとⅠ峰)が点を突き上げるように見えています。右岸の巻き道に上がり、再び雪渓に降りるところで、雪渓と露岩の間に大きな隙間が口を開けていました。隙間に滑り落ちそうな気がしましたが、ここは十分気をつけて雪渓に渡りました。
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 雪渓を歩くと、前方には八ッ峰の鋭鋒が迫ります
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 ここで再び雪渓に上がります

 傾斜が急になったところで、軽アイゼンをつけて、下っていきます。間もなく、左手から大きな谷が合流してきました。これが長次郎谷です。その名は、新田次郎の「劔岳-点の記」に出てくる案内人宇治長次郎にちなんでいますが、測量官柴崎芳太郎らが劔岳に初登頂したのは、この長次郎谷を詰めたルートでした。
 長次郎谷を見上げると、上部はガスで見えませんが、よく見ると、数人のパーティーが長次郎谷を登っています。ここを詰めると、熊ノ岩を経て長次郎のコルに至ります。このあたりは雪渓の状態が悪く、大きなクレバス(割れ目)ができていました。
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 軽アイゼンをつけて雪渓を下ります
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 長次郎谷を見上げると数人のパーティーが見えます

 長次郎谷を過ぎると、左岸に上がり巻き道を進みます。巻き道にはザレた箇所もあり、滑落に気をつけながら下っていきます。右手からは別山沢、次いで真砂沢が流れ込んでくると、真砂沢ロッジに到着しました。
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 今度は左岸の巻き道を行きます
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 右手から別山沢が合流してきました
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 次いで真砂沢が合流してきます
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 真砂沢ロッジは、昨日(10/10)で営業終了していました
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 真砂沢の紅葉が素晴らしい

 真砂沢ロッジの前庭で昼食を摂った後、二股をめざします。ここからは、概ね剱沢左岸を歩くことになり、途中で河原を歩いたり、小さな高巻きやへつりを繰り返すことになります。三ノ沢を過ぎると、黒部ダムに行く道が雪渓を横切っています。ペンキやケルンなどがあり、迷うようなことはありません。
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 左岸に高巻きながら三ノ沢を通過しています
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 黒四ダム方面に行く道は雪渓を横切る
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 仙人・二股と大きな岩にペイントあり
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 四ノ沢付近で河原を歩きます
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 左岸のへつりを高巻いています

 やがて、劔沢本流(南股)の正面に大きな岩が見えてきました。これが近藤岩です。その右が二股になっていて、吊り橋があります。この橋は、冬季には撤去されるそうです。
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 正面に大きな岩(近藤岩)が見えてきました
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 北股と南股(剱沢本流)が合流する二股に吊り橋

 二股(1585m)の吊り橋を渡ると左に曲がり、すぐに右の仙人新道の取り付きに入ります。この道は、最初朽ちた木の階段の急登にになっています。また途中は抉られた溝道もあり、アルミのハシゴも何か所かあります。樹林の中の道なので重苦しい雰囲気です。150mほど一気に登ると傾斜が緩くなり、崩壊地やトラバースを通過し、小ピークを越えると、尾根に出てきました。左手には三ノ窓雪渓と紅葉した三ノ窓尾根が見えています。ガスがなければ、八ッ峰の美し岩壁が見えるようです。
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 三ノ窓雪渓が見えてきました
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 紅葉のきれいな仙人新道の尾根
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 仙人新道の上部尾根は、ダケカンバやナナカマドの灌木が多く、色鮮やかに紅葉を見せていました。仙人峠に近づくと、右手に仙人池ヒュッテの赤い屋根が見えてきました。
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 仙人池ヒュッテの赤い屋根が見えています
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 仙人峠に着きました

 仙人峠から右に行くと、仙人池ヒュッテに向かいますが、今夜の宿泊小屋の池ノ平小屋へは左に向かいます。木道を少し登り、次はトラバース気味に下って行くと、やがて左手下に平ノ池(剣池)と小窓雪渓が見えてきました。向こうには池ノ平小屋も見えてきました。
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 仙人峠から左に木道を登っていきます
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 左に小窓雪渓、右に平ノ池(剣池)が見えています
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 登山道の向こうに池ノ平小屋が見えてきました
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 池ノ平小屋に到着しました

 池ノ平小屋は定員30人の小さな小屋でしたが、本日は満員でした。しかし、布団1枚にひとりが寝ることができたのは幸せでした。それに、温泉ではないけれど、一人ずつしか入れない五右衛門風呂がありました。「チンネの湯」と命名されていたのがおかしかったですね。もちろん、ここから正面にチンネが眺望できるからですが。

 小屋の中には、去年から今年にかけて、映画「劔岳-点の記」のロケが行われ、この小屋付端近でもロケがありました。その模様がスクラップやスナップ写真になっていました。キャストの浅野忠信さん(柴崎芳太郎役)、香川照之さん(宇治長次郎役)が小屋のおやじさんと一緒に写っていました。
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 ここは池ノ平小屋の談話室の壁
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<コースタイム>081011曇り時々雨
930剣山荘 1040平蔵谷出合 1100長次郎谷出合 1140真砂沢ロッジ(昼食)1220 1255発 1255二股吊り橋 1445仙人峠 1515池ノ平小屋


by kitayama-walk | 2008-10-11 23:11 | その他


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