山好き的日々@京都北山

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2008年 08月 05日

北穂高岳から奥穂高岳へ

 北穂高岳から涸沢岳を経て奥穂高岳への縦走が待っていました。このコースは、2004年7月に歩いたことがありますが、このときは、雨のうえ、強風という悪天候で、両側が切れ落ちたところで、まともに風を受けて四つん這いになって歩いた(這った)記憶があります。とにかく、涸沢岳への登りは急登で、落石の危険があり、強風も手伝って、怖かったという思いだけが残っていました。それだけに、今回再度のチャレンジですが、好天を願っていました。しかしながら、青空の下、素晴らしい景色を眺めながらというわけにはいきませんでした。曇ってはいましたが、雨もなく、強風もなく、落ち着いて縦走することができたと思います。
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 涸沢岳からの下りで、奥穂高岳、右にはジャンダルムの頭を眺望しています



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 午前9時40分に北穂高小屋に到着し、ここでしばらく休憩です。昼食にはちょっと早いので、生ビールを飲んで喉を潤します。北穂高岳は双耳峰になっていて、北穂高小屋は北峰の東壁にへばりつくように建っています。まずは、小屋からすぐに登れる北峰に行きます。山頂には標識などが設置されていて、広場のようになっています。晴れていれば、ここから槍ヶ岳までの大パノラマが見えるはずでしたが、あいにくの天気でガスっていて眺望はありませんでした。
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 北穂高岳(北峰)の山頂では眺望なし
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 晴れていれば、このような景色が望めるはずです
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 さて、北峰からは松濤岩のコルまで下ります。ここにはまだ残雪があり、少し雪渓をトラバースすることになります。この松濤岩は、「風雪のビバーク」で有名な登山家松濤明に由来します。松濤は、1948年12月28日、友人有元と槍ヶ岳方面をめざして登山しましたが、友人とともに北鎌尾根で遭難しました。発見された手帳には「全身硬ッテ力ナシ 何トカ湯俣迄ト思ウモ 有元ヲ捨テルニシノビズ、死ヲ決ス オカアサン アナタノヤサシサニ タダカンシャ…」(1/6)と記されています。
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 北穂高岳(北峰)から松濤岩のコルに下りていきます

 この松濤岩の横を通過して、南峰の左手を巻きながら進むと、涸沢へ下る登山道との分岐がありますが、右に登っていき、南峰の頂陵に出て行きます。すると、前方に薄いガスに覆われた滝谷ドームが姿を見せてきました。
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 涸沢に下る分岐があります

 ドームの方向に滝谷側を下っていき、鞍部から登り返しながら、今度はドームの左側(涸沢側)に回り込んでいきます。すると、小さいながらも平坦な場所があり、ここから涸沢を見下ろすことができます。そして、その向こうには前穂高岳の北峰が連なっています。振り返ると、下ってきた岩峰が大きくそびえ立っていて、迫力があります。この頃から少しガスも切れてきて、時折青空も見えるようになってきました。
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 滝谷側に下っていきます
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 ガスの中に滝谷ドームが見えてきました
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 ガスが切れてドームがはっきりと見えてきました
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 前穂高岳の北尾根が見えています
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 振り返ると、下ってきた岩峰が聳えています

 ドームを過ぎると、再び滝谷側に渡り、鎖の岩場を下っていきます。登り返すと、今度は涸沢側に回り、岩壁の横を通過していきます。涸沢を見下ろしながら、進むと、再び滝谷側に入っていき、ここから奥壁バンドと呼ばれるところで、300mの高度差で滝谷の大岩壁がなぎ落ちています。そう恐怖するほどでもないが、100mほどの距離を下っていきます。ここを通過すると、また稜線は涸沢側に入り、ゆるやかにガレ場を下っていきます。2つ目のコルが最低鞍部の涸沢のコルで、北穂高山荘から奥穂高山荘までのちょうど中間点になっています。
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 涸沢側の岩壁の横を通過します
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 今度は滝谷側に回ります
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 再び涸沢側に回ります 
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 中間点の涸沢のコル(最低のコル)

 涸沢のコルから亀岩と呼ばれる丸い背の岩峰を越えた鞍部がニセ涸沢のコルと呼ばれるところです。反対コースの場合、ここを涸沢のコルと勘違いすることから、そう呼ばれています。ここから涸沢槍、涸沢岳の長い鎖場のある急登になります。
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 ニセ涸沢のコルに下りていきます
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 涸沢槍への登りとなります

 まず飛騨側の稜線から鎖に沿って登ると、次いではしごがあります。2つのはしごを越えて涸沢側に回り込むように長い鎖のある岩場を斜めに登っていき、今度はUターン状に斜上し、滝谷側に回り込みます。涸沢槍の直下を直登するように登り、稜線に出てから下っていくと、D沢のコルに出てきます。
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 まず鎖に沿っての登りです
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 次いではしごを越えます
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 長い鎖の岩場を斜めに上がっていきます
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 滝谷側から涸沢槍を直登します
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 D沢のコルに下りてきました

 D沢のコルから登り返して、一旦右手に岩を巻きながら下り、オダマキのコルに出て、ここから飛騨側を登り、鎖に沿って進み、最後はV字に割れた岩溝を越えると、涸沢岳の稜線に出てきました。ここからは飛騨側を巻くおだやかな道となり、涸沢岳の山頂が見えてきます。山頂を巻く道がありますが、ここでは涸沢岳山頂(3110m)に立ち寄りました。
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 V字に割れた岩溝を登ります
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 涸沢岳の山頂が見えてきました
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 涸沢岳山頂に立ち寄りました

 涸沢岳山頂からは奥穂高山荘の建っている白出沢のコルまでは下りで、途中で奥穂高岳にかかっているガスが切れてきて、奥穂高岳山頂、ジャンダルムの頭が見えてきました。10分ほどの下りで午後12時30分に奥穂高山荘に到着しました。
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 ガスが切れて奥穂高岳とジャンダルムが見えてきました
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 奥穂高山荘とヘリポートが見えます

 奥穂高山荘でカレーと生ビールで大キレットを無事縦走することができたことを喜びました。今日の予定は、奥穂高岳山頂まで往復し、奥穂高山荘に宿泊し、翌日白出沢を下って新穂高温泉に戻ることにしていました。しかし、予定よりかなり早く到着したこと、そして奥穂高岳山頂付近が再びガスで覆われてきたことから、今日のうちに涸沢に下り、横尾山荘まで行くことしました。
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 奥穂高山荘に到着しました
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 山荘前のテラスから奥穂高岳へ登り
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 今度は下ってきた涸沢岳を見上げています
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 テラスから正面には常念岳、左端には燕岳が見えています

 ザイテングラートを下って涸沢に下ります。下る途中で前穂高岳の北尾根が第1峰から第5峰まできれいに見えています。前方には屏風の頭とその左にはピラミダルな常念岳が印象的です。大キレットを縦走してきた疲れを感じさせないように、ザイテングラートを駆け下りました。
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 ザイテングラートへの標識
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 涸沢を見下ろしながらザイテングラートを下ります
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 正面には屏風の頭、左に常念岳
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 涸沢カール越しに前穂高岳の北尾根を眺望しています
 
 涸沢ヒュッテのテラスで休憩し、また生ビールとおでんで乾杯です。涸沢からは横尾をめざします。まだ残雪がある涸沢に沿って下り、正面には横尾尾根が見えています。間もなく横尾谷に沿って下るようになり、本谷橋を渡り、左岸をゆっくりと横尾山荘まで下りました。
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 涸沢ヒュッテのテラスの手前から屏風の頭を望んでいます
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 涸沢テント場、向こうに涸沢小屋、そして北穂高岳
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 涸沢ヒュッテから涸沢カールを見上げる
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 涸沢ヒュッテの小屋
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 横尾谷にかかる本谷橋を渡ります
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 屏風岩の岩壁が見えています
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 横尾大橋を渡ると横尾山荘に着きました
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 横尾山荘は一部改装中でした
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<コースタイム>080805曇り後晴れ
630南岳小屋 730大キレット鞍部 755長谷川ピーク 840飛騨泣き 940北穂高小屋 1010北穂高岳 1205涸沢岳1220発 1230奥穂高山荘1310発 1430涸沢ヒュッテ1500発 1600本谷橋 1650横尾山荘


本日の花
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 イワオウギ(岩黄耆)マメ科
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 イワギキョウ(岩桔梗)キキョウ科
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 イワツメグサ(岩爪草)ナデシコ科
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 イワベンケイ(岩弁慶)ベンケイソウ科
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 ウサギギク(兎菊)キク科
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 エンレイソウ(延齢草)ユリ科 
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 オオバギボウシ(大葉擬宝珠)ユリ科
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 クルマユリ(車百合)ユリ科
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 シコタンソウ(色丹草)ユキノシタ科
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 シコタンハコベ(色丹繁縷)なでしこ科
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 タカネヤハズハハコ(高嶺矢筈母子)キク科
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 チシマギキョウ(千島桔梗)キキョウ科
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 チングルマ(稚児車)キンポウゲ科
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 ハクサンフウロ(白山風露)フウロソウカ科
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 ミネウスユキソウ(嶺薄雪草)キク科
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 ミネズオウ(嶺蘇芳)ツツジ科
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 ミヤマオダマキ(深山苧環)キンポウゲ科
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 ミヤマリンドウ(深山竜胆)リンドウ科
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 ヨツバシオガマ(四葉塩竃)ゴマノハグサ科

by kitayama-walk | 2008-08-05 23:02 | 日本百名山 | Comments(4)
Commented by じんじん at 2008-08-25 21:34 x
こんばんは じんじんです
「じんじん&ふーみんの山で逢えたら」にお越しくださいましてありがとうございます
レポ拝見しました 本当に良く似た山行ですね もしかしたら何処かでお会いしてるかも 穂高縦走のレポは非常に詳しく書かれているので参考になりました 是非チャレンジしたいと思っています
僕もリンクさせていただきました これからもヨロシクです
Commented by 三太夫 at 2008-08-25 22:19 x
 こんばんは。
 北穂高岳から涸沢岳は、数年前に私たちも通ったことがあるが、怖くて怖くて、涸沢のテント場に着いたときには、何は置いてもとテントの中へ転がり込み、暫らく横になっていたことを今でも鮮明におもいだします。特に、鎖を使って稜線に登り上がる際、何気なく上をみると頭上に人がぶら下っているようにみえ、ゾッとしたものでした。
 先の大キレット越えといい、今般といい、精神的疲労は相当なものとおもわれるが、これをものともせず、涸沢までならいざ知れず、横尾まで一気に降りるとは、いやはや、なんとも言葉がありません。ちなみに、私は、岳沢ヒュッテ(現存せず)から奥穂山荘の予定を変更して涸沢まで欲張ったことがありました。この際、ザイテングラードを降っていると、下にみえてい涸沢ヒュッテが歩いても歩いても近付かず、「遠いなぁ」とおもっていたら、そのうちに完全にバテてしまい、それから涸沢小屋まで姫に励まされたり、怒られたりしながらようようのおもいで、小屋に着いたことがありました。これに比べると、貴方方の健脚ぶりは、正に天狗の再来としか考えられません。
 雨乞岳でお会いしたときの印象とはぜんぜん違うのに驚きました。
Commented by kiyatama-walk at 2008-08-26 00:39 x
 じんじんさん、レスありがとうございます。これを機に、これからも情報交換をお願いします。

 私は昨年秋から鈴鹿通いが続いていて(ブログを見ていただければわかると思います)、この5月下旬頃まで毎週のごとく通っていました。しかし、6月に入るとヤマビルの季節になり、ちょっとヒルんでしまい、秋まで退却することにしました(何と軟弱な!)。

 それで、7月から9月は、この時期でないとなかなか登れないような高い山に焦点を当てています。山レポはできるだけ詳しくと思い、時間をかけて作っていますので、参考にしていただければ幸いです。
Commented by kitayama-walk at 2008-08-26 00:52 x
 三太夫さん、こんばんは。「天狗の再来」とはちょっと誉めすぎのようですね。確かに、山歩きを続けているので、足腰は丈夫になっています。下半身の筋肉が強くなっていて、ふくらはぎはししゃも足と娘たちから言われています。今年4/13に雨乞岳山頂でお会いしたときの印象とどう違っているのでしょうか?

 04/07に涸沢から北穂に登り、奥穂まで縦走したことがありますが、このときはしんどかった。涸沢までは快調に飛ばしてきたのですが、北穂までの登りが3時間以上かかりました。仲間の意見では、高山病にかかったのではないかとのこと。北穂小屋では、注文した昼食のカレーも半分も食べられず、寝ていたそうです。その後、涸沢岳から奥穂高まで引っ張って行かれたのですから、今思えばよく行ったもんだと。このときは、雨天、強風で、コルでは四つん這いになって吹き飛ばされないようにしたことを思い出します。


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