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山好き的日々@京都北山

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2008年 08月 03日

槍ヶ岳→奥穂高岳縦走~大キレット越え

 今年の夏山登山のメイン・イベントの槍ヶ岳→奥穂高岳縦走(大キレット越え)をしてきました。
 【8/3】新穂高温泉-白出沢出合-滝谷出合-槍平小屋(泊)
      概ね晴れていて、気持ちよく出発することができました。
 【8/4】槍平小屋-千丈沢乗越分岐-飛騨乗越-槍ヶ岳山荘-大喰岳
      -中岳-南岳-南岳小屋(泊)
      ほとんどガスと雨の中を歩きました。槍ヶ岳には登っても展望も
      見込めないので登頂を断念しました。しかし、夕刻、ガスが切れ
      大キレット、北穂高岳が姿を現し、夕日が笠ヶ岳の北に沈むのが
      感動的でした。
 【8/5】南岳小屋-大キレット-長谷川ピーク-飛騨泣き-北穂高小屋
      -北穂高岳-涸沢岳-奥穂高山荘-涸沢-横尾山荘(泊)
      曇り空の下、大キレット越えに挑戦しました。午後からは少し晴れ
      てきました。予定より2時間も早く奥穂高山荘に到着しましたが、
      奥穂高岳山頂はガスに隠れていたため、登頂をあきらめ、涸沢
      に下りました。
 【8/6】横尾山荘-徳沢-上高地-(バス)-新穂高温泉
      最終日はまずまずの天気でした。上高地からシャトルバスで平湯
      温泉、さらに新穂高温泉まで戻り、入浴後、帰京しました。

 全般的には、天候が不安定で、2日目と3日目が天候に恵まれず、期待した眺望を見ることができず、半分残念な結果となりました。
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 南岳小屋(獅子鼻)から大キレット、その向こうに北穂高岳を望む



 午前6時に京都を出発し、京都東ICから名神高速、東海北陸道を経由し、飛騨清見ICから高山を通過して、平湯温泉から新穂高温泉に午前10時20分に到着しました。新穂高ロープウェイの新穂高温泉駅の上にある有料駐車場に車を駐めました。天気は上々で、新穂高温泉駅から笠ヶ岳がきれいにみえています。
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 新穂高ロープウェイの新穂高温泉駅(右手にある道を行きます)
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 真ん中の緑ノ笠より左にあるのが笠ヶ岳

 ホテル穂高で飛騨牛カレーを食べたかったのですが、営業は11時からだったので、断念してロープウェイ駅にある喫茶店でラーメンを食べることなりました。午前11時05分身支度を整えて出発しました。まずは、駐車場の右手から蒲田川右俣谷の登山道に入っていきます。
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 槍・穂高への登山道(蒲田川右俣谷林道)への入口を示す道標

 舗装のされていない林道歩きになります。道の脇には、ウバユリ、ヤマアジサイ、ソバナ、ツリフネソウ、キツリフネソウなどの花が咲いています。
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 蒲田川右俣谷林道を歩きます
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 ウバユリ(姥百合-ユリ科)
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 ヤマアジサイ(山紫陽花-ユキノシタ科)
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 ソバナ(岨菜-キキョウ科)
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 ツリフネソウ(釣船草-ツリフネソウ科)
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 キツリフネソウ(黄釣船草-ツリフネソウ科)

 林道は緩やかな登りとなっていて、2回ほど大きく曲がり、小鍋谷に架かる橋を渡ります。林道を進むと、第4号砂防堤防のところで、右俣谷の先にある稜線(おそらく中岳と南岳の間のあたりと思われます)が見えます。やがて林道は大きく右にカーブして登っていくと、穂高平小屋の前に着きました。
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 小鍋谷に架かる橋を渡ります
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 砂防堤防から稜線を眺望します
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 穂高平小屋の前に出てきました

 穂高平小屋から進むと、間もなく、砂防堰堤のある柳谷を大きく回り込んでいきます。さらに林道を進んでいくと、奥穂高岳への登山口(白出沢分岐)があります。ここから200mほど進むと、林道が終わりとなり、石のごろごろしている白出沢の河原に出てきました。白出沢を渡ると、山道に入っていきます。
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 砂防堰堤のある柳谷
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 白出沢分岐から奥穂高岳へ登山道が分岐します
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 石がごろごろしている白出沢

 白出沢を越えると、本格的な登山道になったという感じが出てきます。シラビソやコメツガの樹林帯の中を少しずつ登っていきます。ここから槍平小屋までの間に沢を4つ越えることになります。まずはブドウ谷、チビ谷と涸れた谷で水流はありません。
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 樹林帯の中に入っていきます
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 タマガワホトトギス(玉川杜鵑草-ユリ科)が咲いていました
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 センジュガンピ(千手岩菲-ナデシコ科)
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 チビ谷を渡ります

 続いて滝谷避難小屋が向こうに見えるところで滝谷に出てきました。この谷は比較的大きく、水の流れもありました。常時水流があるようで、木橋が架かっていて、これを渡ります。
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 滝谷の河原に下りていきます
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 木橋が架かっています

 滝谷は、北穂高岳の稜線から飛騨側に切れ落ちた険谷で、有名な登攀ルートがある岩場になっています。滝谷と聞いて思い浮かぶのは、井上靖の小説「氷壁」です。主人公魚津が遭難した親友小坂の妹かおるとの結婚を決意し、美貌の八代夫人の思いを断ち切るために、独身最後の山を滝谷の地を選び、かおると上高地の徳沢園で落ち合う約束をし、単独で北穂高岳の滝谷D沢に向かい、滝谷の沢をつめて、D沢の上部まできたのですが、かおるのもとに着くことはありませんでした。

 滝谷の河原から奥を眺望して見ると、雄滝と稜線のドームが見えましたが、その全容は望めませんでした。沢を渡ったところの右手の岩塊に藤木九三のレリーフがあります。藤木九三は、日本に近代アルピニズムを導入した登山家で、日本初のロック・クライミングを目的とした山岳会であるRCC(Rock Climbing Club-整理回収機構ではありません)を創立し、1925年8月に北穂高岳滝谷の初登攀に成功しています。六甲山の芦屋ロックガーデン(藤木による命名)にもレリーフがあります。
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 滝谷出合から滝谷ドームと下方に雄滝が眺められます
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 登山家藤木九三のレリーフがあります

 滝谷を渡ると、右俣谷が次第に狭まってきて、登山道の傾斜も急になってきます。しばらくは樹林の中を登っていきますが、やがて抜け出て、石を組んだ道になります。ゴゼンタチバナソウやイワオトギリなどの花が咲いています。間もなく、右手から流れ込んでくる南沢を渡りますが、ここも涸れていて水がありません。ここを渡ると、谷が広がってきて、平坦になってきます。そして、小さな沢に架かった橋を渡って、初日の宿泊予定の槍平小屋に到着しました。
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 南沢を渡ります
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 ゴゼンタチバナ(御前橘-ミズキ科)
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 イワオトギリ(岩弟切-オトギリソウ科)

 宿泊の受付を済ませて、小屋の北側にあるテント場に行ってみると、7、8張りのテントが設営されていました。ここは広々としていて周囲には斜面もありません。
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 槍平小屋に到着しました
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 小屋の北側にあるテント場

 昨年12月31日深夜雪崩による遭難事故が発生したとは想像もつきませんが、下記のニュースによると、小屋の北側のテント場ではなく、南側にテントを張っていたようです

 遭難事故のニュースは次のようなものでした。31日午後11時半頃、槍平小屋付近で雪崩が発生。雪崩に巻き込まれたのは小屋の5~10m南側に並ぶようにテントを張って就寝していた2パーティー。周辺にはこの2つのテントを含め、7、8張りのテントがあり、少なくとも25人がいたという。小屋に宿泊していた登山者が助けを求める声に気づき、周囲にいた登山者らが7人を救出したが、うち4人が死亡した。助かった3人は「突風でテントが吹き飛ばされ、どさっと雪の下敷きになった」と雪崩の瞬間を説明した。現場は比較的なだらかな地形で、北側に「冬季小屋」、10~20m南側に「夏季小屋」がある。雪崩発生時、夏季小屋の東側に5、6張り、南側に3張りのテントが設営され、両パーティーは夏季小屋南側に別々に張ったテントで就寝中だった。小屋には雪崩の痕跡がなく、2組の東側にテントを張っていた別のグループが巻き込まれていないことなどから、雪崩は西側の急斜面で発生し、沢を越えて二つのテントを直撃したとみられる。現場では事故当時、約3mの積雪があり、31日朝から飛騨北部に大雪警報と雪崩注意報が出されていた。

 槍平小屋やテント場の周辺にもたくさんの花が咲いていました。
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 オニシモツケ(鬼下野-バラ科)
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 カラマツソウ(唐松草-キンポウゲ科)
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 ミヤマカラマツ(深山唐松-キンポウゲ科)
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 エゾシオガマ(蝦夷塩竃-ゴマノハグサ科)
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 ミソガワソウ(味噌川草-シソ科)
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<コースタイム>080803晴れ
1105新穂高温泉 1155穂高平小屋1205発 1245白出沢出合1255発 1410滝谷出合1420発 1510槍平小屋(泊)


by kitayama-walk | 2008-08-03 23:57 | 日本百名山


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