山好き的日々@京都北山

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2007年 10月 28日

クラシ・イブネ・チョウシ・タイジョウ

 鈴鹿の山で最も気になるイブネ・クラシのあたりを、晴天の下、もう一度歩いてみたいと思っていましたが、その機会がやっと訪れました。前日の予報では、高気圧が張り出し近畿地方は全般的によく晴れるというので、午前5時に起きて出発しました。
 今回は、甲津畑から千種街道を辿り、杉峠からイブネ(1160m)・クラシ(1154m)に至るというコースにしました。ついでに気になっていたチョウシ(銚子1123m)にも立ち寄り、帰りはタイジョウ(1060m)を経由して、千種街道に戻りました。
 この日は、朝から快晴で雲もほとんどないという絶好の秋日和で、イブネからの展望は素晴らしいものがありました。御在所岳、鎌ヶ岳、雨乞岳の並んだシルエットはもちろん、イブネ北端からは釈迦ヶ岳の向こうには、冠雪した乗鞍岳と御嶽山の姿も仰ぎ見ることができました。
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 イブネの山頂は平坦な地形でヤブもない



 甲津畑小学校を過ぎて、なおも舗装された道路を進むと、次第に高度を上げていき、5分ほどで渋川(藤切谷)にかかる鳴野橋に着きます。この橋の手前右端に4、5台の駐車スペースがあり、ここに車を停めました。50mほど戻ったところに、岩ヶ谷林道の入口があり、登山届のボックスが設置してありました。午前7時に出発となりました。ここから千種(千草)街道を杉峠まで登っていくことになりますが、最初は幅2mほどの舗装された道となっていました。やがて、地道に変わり、左手に藤切谷の美しい渓谷を見下ろしながら進みました。
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 20分ほど歩くと、右にカーブしたところに「杉谷善住坊のかくれ岩」と書かれた案内板があります。
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 ここから少し寄り道して、藤切谷に下りたところに大きな岩があり、詳しい説明書がありました。織田信長は京から岐阜へとこの千草街道を通っており、1580年5月六角氏の命を受けた杉谷善住坊がこの岩陰に隠れて信長を狙撃したが、結局狙撃は失敗に終わり、信長は難を逃れたそうです。ただし、当時の千草街道の古道は藤切谷の対岸(右岸)にあったようです。
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 さらに30分ほど進むと、右手に「桜地蔵尊」という地蔵菩薩を祀った祠がありました。このあたりはすでに植林帯に変わっていますが、昔、大きな桜の木があったことから、桜地蔵と名付けられたそうです。往時、この付近で銅鉱山が隆盛であった頃、鉱山経営者からお堂が奉納され、「あかがね(赤金)地蔵」とも呼ばれていたそうです。
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 桜地蔵尊を過ぎると、間もなく藤切谷にかかる橋があり、これを渡ると道は細くなってきます。右手に谷、左手に山を見ながら進んでいると、山側に猿が数匹いましたが、何と猿たちが警戒してか、石を落としてきたのです。結構大きな石が数個落ちてきてびっくりしました。信長ではないけれど、素早くこの場を通り過ぎて難を逃れました。
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 やがて塩津々という旧集落(古屋敷)跡に着きます。ここは桑名から運ばれてきた塩を、近江の商人が受け取った場所ということから、その名が付いたと思われます。周囲を見渡すと、苔むした石垣などがあり、往時の繁栄のあとを窺わせてくれます。この場所の右手を見ると、「大峠・祝ヶ岳」という標識がありました。ここが大峠分岐(ツルベ谷出合)のようです。ここで、祝ヶ岳=イハイガ岳であることに気づきました。ツルベ谷を遡り、大峠からイハイガ岳(祝ヶ岳)に登り、綿向山まで縦走することができるようです。また、大峠から清水ノ頭を経て雨乞岳に至ることもできるようなので、次の機会にチャレンジしてみたいと思います。
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 しばらく街道を進むと、少し広い場所に出ます。ここが「蓮如上人旧跡」と言われるところで、石碑と井戸跡があります。浄土真宗の中興の祖と言われる蓮如上人が天台宗比叡山衆徒に追われ、この地に逃れて炭焼き竈に隠れて難を逃れたという言い伝えがあるそうです。
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  蓮如上人旧跡からすぐにところに、シデの巨樹が立っています。おそらくこの街道で随一の巨木ではないでしょうか。このあたりから街道沿いには、シデ、ブナ、ナラなどの古木の並木が続いています。
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 また、向山鉱山跡があり、昔の飯場の形跡を思わせる石垣がありました。
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 シデの並木が終わりかけた頃に、天に向けて大きな枝を広げたミズナラの木に出会いました。ここが「一反ぼうそう」と呼ばれていて、枝を広げている広さが一反ほどあるということから名付けられたそうです。ここから杉峠まではあと少しです。
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 午前9時、出発してからちょうど2時間で、杉峠に到着しました。古老の杉が迎えてくれました。ここですでに標高が1036mあります。千種越えでは最高地点になります。
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 右に急登を登ると雨乞岳に行きますが、今日は左の尾根を登り、イブネをめざします。最初は灌木の中を行きますが、すぐに樹木はなくなり、ササも枯れた何もない場所に出ます。
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 右手には御在所岳が見えてきます。踏み跡が続いているので、これに従って進むと、再び灌木の中に入り、ピークらしいあたりに来ると、杉峠ノ頭(1121m)という標識が架かっていました。
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 ここからは佐目峠をめざしますが、少し下っていくと、踏み跡は右に曲がっています。佐目峠、イブネへの道を案内するプレートもあります。これに従いながら下って行くと、少し開けた場所に出て、少し大きな石がありました。ここが佐目峠となっています。
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 さらに進むと、今度は登りです。さほど急登でもないので、ゆっくりと息を整えながら、登っていきます。やがて登りも終わったと思うと、草原のような場所に出ました。平坦な場所になっていて、これがしばらく続いています。ちょうどその真ん中あたりに、イブネ(1160m)のプレートがありました。
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 昔は深いササに覆われていて、踏み跡も錯綜していたと聞きますが、今はササもなく、広々としたところになっています。東方(右手)を見ると、御在所岳、鎌ヶ岳が並んでおり、振り返ると雨乞岳の双耳峰がありました。
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 だだっ広いイブネの山頂から北東に進むと、その先端にイブネ北端があります。ここからは眼前にクラシがあり、その向こうに釈迦ヶ岳が見えています。さらにそのずっと向こうには冠雪した山が見えていましたが、乗鞍岳と御嶽山のようです。今日はすっきりとした快晴で雲もないことから遠くの山までも見渡すことができました。ただ一眼レフカメラでなかったので、残念ながら乗鞍岳や御嶽山の姿を鮮明に撮ることはできませんでした。
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 イブネ北端から北に下ると、また草原のような広い台地に出ます。ここは、地形図のP1040のようです。
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 さらに踏み跡を進むと、灌木の中に入り、すぐに右に折れて小ピークに着きました。シャクナゲの木に覆われた山頂には、クラシ(1154m)のプレートが数枚架けられていました。クラシの山頂はここなのか、それとも先ほどのP1040なのか、判然としません。
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 クラシからは引き返し、P1040から銚子ヶ口への縦走路に入りました。少し行ったところにP1123があり、このピークがチョウシ(銚子)ではないかと思い、確かめることにしました。少し下ってから尾根伝いに登っていくと、P1022方面への分岐があります。ここから舟窪や大峠を経て銚子ヶ口岳に縦走できるようなので、またいつか行ってみたいと思います。この分岐から少し左に行ったピークがP1123でした。ここも開けた場所になっていましたが、何の表示もありませんでした。でも、多分ここがチョウシであると思い、ここで少し早目の昼食としました。
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 チョウシからは正面にイブネの丘-まさに平らな山頂は丘のように見えます-が見えます。その丘の上を数人の登山者が歩いている姿が見えてきました。さて、チョウシからイブネに戻ります。
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 チョウシから正面にイブネの丘が見えていて、その手前がなだらかな斜面になっていたので、単に引き返すのではなく、この緩斜面を登り返してみようと思い、少し戻ったところから、斜面を下りていきました。鞍部には小さな沢が流れており、これを横切って斜面を登り返していきました。ヤブも灌木もない斜面なので見晴らしがきき、少し登ったところに岩があり、ここで少し休憩していると、前方から女性がひとりやってきました。どちらに行かれるのかと尋ねると「チョウシ」と返ってきました。やはりさっきのピークがチョウシなのでしょう。ここからは踏み跡が残っていて、登っていくとイブネの広い山頂に戻りました。山頂には、20人あまりの団体さんがいて、記念撮影の最中でした。結構イブネに登ってくる人があるものなんだなと少し感心しました。
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 イブネからチョウシ、そして銚子ヶ口岳方面を展望する
 
 さて、帰途は、タイジョウ(1060m)を回るコースにしようと思い、佐目峠まで引き返し、杉峠の頭から下りてきた道が右に曲がるところまで戻りました。ここから右に行き、タイジョウをめざします。この分岐あたりがアゲンギョと呼ばれる箇所なのでしょうか? アゲンギョ=杉峠の頭という説もあるようですが、アゲンギョはピークではなく、杉峠の頭と佐目峠との間の広い場所をいうことだと解釈すれば、このあたりがアゲンギョになると思うのです。この箇所のブナの幹に、→佐目峠、←水谷岳(カクレグラ)と彫ってありました。木の幹に直接彫るのはよくないことですね。
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 分岐のアゲンギョからタイジョウに向けて尾根を歩きます。最初は、結構幅の広い尾根で、気持ちのよい自然林の中を歩きます。紅葉の葉が赤く染まり、シロモジの葉は黄色く染まり、紅葉を迎えていました。
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 やがてP1084に近づくと、シャクナゲの木が出てきます。ここからは尾根はヤセ尾根となり、右側は佐目子谷になっていて、所々が深く切れ落ちています。ヤセ尾根の下りは滑りやすく、慎重に下っていきました。途中に2つのパーティーに出会いましたが、いずれも千草街道からタイジョウに登ってきたとのことでした。
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 ヤセ尾根が終わると、鞍部からは少し広い尾根に変わり、やがてタイジョウの山頂に到着しました。残念ながら灌木に覆われていて展望はありませんが、「大丈」と書かれたプレートが架けられていました。大丈夫(だいじょぶ)から大丈(たいじょう)と読ませているのでしょう。
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 タイジョウからはカクレグラ(水谷岳)に向かう尾根道が続いているのですが、今日は時間がないことから、タイジョウから尾根を下り、千草街道の桜地蔵尊を過ぎたところにある橋付近に下りようと思いました。タイジョウの西尾根を下りていったのですが、途中でひとつ尾根を間違えてしまい、谷に下ってしまいました。GPSで確認すると、それが分かったので急斜面を登り返しました。時間的には2時半を回っていたので、少々焦ってしまいましたが、30分ほどで予定のコースにリカバーすることができて安堵しました。あとで地形図をよく見てみると、タイジョウからは、南尾根を下り、P891から西に向かい、大峠分岐付近の街道に下りてくるのが正解のようです。

 千種街道に下り立つと、朝通った道を戻ることになるので、もう安心でした。秋の日はつるべ落としなので、次第に暗くなってくる街道を、今日一日の満足した山歩きを振り返りながら、岩ヶ谷林道の入口まで戻りました。
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<コースタイム>071028快晴
700鳴野橋 715かくれ岩 735桜地蔵 750古屋敷跡 755大峠分岐 805連如上人旧跡 810大シデ 825向山鉱山跡 845一反ぼうそう 900杉峠910発 920杉峠ノ頭 950佐目峠 1000イブネ発1015イブネ北端発1030 1040クラシ 1100チョウシ(昼食)1200発 1220イブネ1250発 1300佐目峠 1310アゲンギョ 1330P1084 1400タイジョウ 1515街道出合 1530桜地蔵尊 1545かくれ岩 1610鳴野橋
 

by kitayama-walk | 2007-10-28 23:33 | 鈴鹿山系 | Comments(0)


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