2007年 07月 06日
今年も夏山シーズンがやってくるのに備えて、体力訓練を意味も込め、坊村から武奈ヶ岳登山を試みることにした。梅雨本番という時期だけあって、好天というわけにはいかないが、何とか雨の降らない日に登ってみることにした。今回は、坊村から御殿山を経て、西南稜から武奈ヶ岳山頂を踏み、そこからコヤマノ岳から中峠を経て、シャクシコバの頭を踏んで、大橋に下り、奥の深谷を渡り、牛コバを回って、坊村に戻ってくるという周回コースにした。 車で坊村まで行き、曙橋を渡った駐車場に車を停めた。曙橋の上から、これから登っていく御殿山コースの急登尾根が見えている。料理旅館の比良山荘の前の溝には溢れんばかりの清流が流れていて、旅館の瓶ビールが冷やすために浸けられている。地主神社の前を左に折れ、朱色に塗られた三宝橋を渡り、明王院の境内から御殿山コースに入った。 このコースは、最初の杉の植林帯の登りが急登であることはよく知られているが、何度登ってもきついジグザグの登りだ。曇りの天気で蒸し暑い中を一歩一歩と足を進めた。 30分ばかり登ると、標高500mで少し平坦な場所に出るので、ここで休憩を取る人が多い。しかし、今回は訓練登山なので武奈ヶ山頂まで2時間以内という目標設定のため、休むことなく進んだ。 樹林帯から自然林の雑木林になっているが、相変わらず急登である。ひたすらジグザグ道をたどると、標高800mくらいで間もなく右手からやってくる尾根に出た。ここまで来ると急登から解放され、少し余裕が出てくる。 尾根伝いに少しずつ登っていくが、途中にP846がある。登山道はこのポイントの左腹をトラバースしているので、登山道から少し外れて尾根に登り、P846を確認し、再び登山道に合流して前に進む。 間もなく右に回り、左手の山腹をトラバースするように登山道は進む。そして、今度は右手からの谷と合流したところで少し谷筋を登ると、右手の尾根に取り付く場所がある。これは無雪期のコースだ。尾根に出ると、尾根筋を少しずつ登って行く。途中で左手に開けたところがあり、救助ポイントになっている。 さらにどんどんと登っていくと、やがてピークに達した。ここが御殿山(1097m)である。本来ならば、ここから西南稜から武奈ヶ岳に至る景色がきれいに見えるのであるが、今日はガスがかかってほとんど見通しがきかない。正面のコヤマノ岳も、シャクシコバの頭もガスに巻かれて何も見えない。5分ほどの休憩を取ってから、やむなくワサビ峠に下った。登山道にはヤマアジサイがたくさん咲いていて、梅雨さながらの光景である。 ワサビ峠からは灌木の中の道を少しずつ登って行くが、5分ほどで灌木帯は抜けた。少し急な登りをふうふう言いながら登って行くと、最初の小ピークに着いた。このあたりから西南稜の景色が満喫できることになるのだが、今日は無理のようである。登山道の脇を見ていると、野アザミがたくさん咲いている。注意してみると、白い花がある。ササユリである。次の小ピークを越えると、最後の岩場(遭難碑がある)を登って、間もなく武奈ヶ岳山頂に着いた。坊村を出発してちょうど2時間だ。これなら何とか合格である。 山頂に着いたものの、相変わらずのガスで眺望はほとんどない。その代わり、小さな赤トンボ(名前は何と言ったかな?)が無数に飛び交っている。その中でうるさいのは小ハエである。ザックに、タオルにとたくさん集ってくる。まだ10時で昼ごはんには早い時間だったので、山頂でのごはんは止めることにした。小一時間ばかり山頂にいると、少しガスが取れてきた時間帯もあり、少しは晴れ間も出てきた。これから登るコヤマノ岳が正面に見えている。 武奈ヶ岳山頂からはイブルキのコバ・八雲ヶ原方面に下った。最初は急な坂で掘れた道を下っていくと、すぐにコヤマノ岳への分岐に出た。ここからは樹林帯の中を登り返すことになるが、ブナなどの自然林の中なので気持ちがよい。間もなくコヤマノ岳(1181m)に至ったが、三角点もなく、わずかに樹木にプレートがかかっているだけで、よく注意していないとそのまま通過してしまうようなところである。 コヤマノ岳の頂から少し下ったところにブナの林がある。巨樹というわけではないが、枝が箒のようになって天に向かって伸びているブナが印象的であった。 コヤマノ岳からは中峠に下る。下り道はしっかりとしていて、迷うようなことはないが、比較的若いブナ林があり、これからが楽しみな場所もあった。中峠はワサビ峠からやってきて八雲ヶ原へ下る道と交差する十字路になっている。 ここからは大橋に向かうことになるが、まずはシャクシコバの頭(1121m)への登りである。少し急になっている坂を10分ほど登るとシャクシコバの頭に着いた。ここもよく注意していないとそのまま通過してしまう。しかし、ピークであるから、地形図を読む山慣れた人ならば、すぐに気づくところである。 シャクシコバの頭からは下りとなる。最初は小気味のよい下りで、どんどんと調子よく降りていく。道が尾根伝いについているが、道がしっかりとついているので迷うようなことはない。やがておにぎり岩に近づくと、坂が急になってきて、一苦労する。おにぎり岩を通過すると、間もなくP931に至り、この下に月見岩があった。大きな岩でこの上に登って月見をしたらいいだろうと想像した。それからさらに下ると、やがて道標があった。この道の名称である「小川新道」の名前が彫り込んである。裏には、1965年に針ノ木峠で遭難した小川潔君の名前が刻んであった。 ここから尾根を降りて、谷沿いに下っていくことになる。やがて登山道は谷を離れて、大きく右に回り込むようになると、植林帯に入る。ここには数本の大きなアシウスギが植わっていた。牛コバから大橋に抜ける登山道に降りてきた。ここから右に行けば牛コバに至るが、今日は大橋小屋まで行ってみることにした。 ここは金糞峠からの道と南比良峠からの道が合流している箇所で、奥の深谷の渓流も合流している。ここで渓流の涼しさを感じながらお昼ごはんにした。 さて、食事を終えると、再び引き返して、牛コバに向かうことになる。登山道はしっかりとしており、所々に道標がある。途中で、巨大なモミの木があった。かなりでかい。幹の周囲を囲んでも3、4人は必要かと思うほど大きく立派な木で、これほどの巨樹はそうそう見当たらないと思う。 さらに進むと、奥の深谷を渡渉する地点があった。トラロープが渡してある。この渡渉地点に気づかず、そのまま進んでしまいそうな箇所である。明王谷の白滝谷と奥の深谷が分岐する箇所から、この箇所までの間が「奥の深谷」と呼ばれる沢登りの沢として有名である。しかし、今日は水量が少し多いため、普段なら水面に出ている岩も水没している。そこで、少し上の岩が水面から出ている箇所を探して、何とか渡渉することができた。 その後は、山腹をトラバースするように登っていくことになる。所々危険な箇所もあるが、よく踏まれた登山道で慎重に足を進めると何でもない。やがて最高点に至ると、今度は下っていく。ジグザグの下りを何度も回りながら次第に高度が下がっていく。途中で大きなヒキガエルに二度も遭遇した。小一時間かかって牛コバに着いた。 ここを左にとり白滝谷に沿って登っていくと、夫婦滝から汁谷に至るが、右にとって坊村に向かった。これ以降は林道歩きが続くのであまりおもしろくない。途中、左に白滝山に登る伊藤新道の分岐があり、また右には三の滝へ下る分岐もあった。これらを見送り、登山道は舗装道路となり、蛇行しながら下っていき、最後は出発地の坊村に着いた。 (昭文社「山と登山地図・比良山系」から引用) 070706くもり時々晴れ 800坊村 855P846 930御殿山940発 1010▲武奈ケ岳1100発 1115コヤマノ岳 1140中峠 1150シャクシコバの頭 1220おにぎり岩 1225月見岩 1240大橋 1300発 1350牛コバ 1430坊村
by kitayama-walk
| 2007-07-06 22:39
| 比良山系
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