山好き的日々@京都北山

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2012年 04月 14日

笈ヶ岳-登山道がない残雪期に登る秘境の峰(初日)

【日 付】 2012年4月14日(土)
【天 候】 小雨後曇り
【山 域】 両白山地
【メンバー】 N野、A房、T野、kitayama-walk

【コース】 一里野スキー場駐車場-中宮発電所-P659-P1058(カンタの山-山毛欅尾山-P1271-P1312-P1418-幕営地(冬瓜平手前)

 
 山好きの人なら笈ヶ岳(おいずるがたけ)の名前を一度は聞いたことがあると思います。白山の北方、石川・富山・岐阜の県境に位置する標高1841.4mの名峰です。この山が山好きの人に知られるのは、日本二百名山の中でも唯一登山道がない山(つまりヤブ山)であり、残雪期にしか登ることができず(厳冬期は雪が深くて一般には登山不能)、しかも歩く距離が長く、登山困難な山と言われているからです。

 深田久弥の日本百名山の「後記」には、「北陸では白山山脈の笈ヶ岳か大笠山を是非入れるつもりであった。これは私のふるさとの山としての身贔屓ばかりではなく、こんな隠れた立派な山があることを世に吹聴したかった。しかしまだ登頂の機会を得ないので遺憾にも割愛した。」と書かれています(昭和39年5月)。その後の深田の著書「百名山以外の名山50」には次のように記されています。「笈岳登山は多年の私の念願であった。しかしこの山には道がない。藪がひどいから残雪の頃を見計らって登るほかない。その残雪も少し時期が早いと深くもぐるし、少しおくれると雪の消えた所に厄介な藪が出てくる。ちょうどいい時分というのはわずかである。今年こそはと思いながら時期を失してしまう。それに山に明るい人の案内がいるし、雪上にテントを張って一晩過ごさねばならない。あれやこれや考えると、なかなか一筋縄ではいかぬ山である。しかしその念願をとうとう果たした。」 深田は、昭和43年5月10~11日に、後述のジライ谷とシリタカ谷の間の尾根を急登し、快晴の下、笈ヶ岳の登頂を果たし、冬瓜平で幕営し、翌日下山しています。

 それでもいくつかの登山ルートがあるようですが、最もポピュラーなのは中宮から山毛欅尾山経由の尾根ルートです。最近は、深田の登った中宮温泉からジライ谷とシリタカ谷の間の尾根を急登する日帰りコース(自然保護センター駐車場から出発)もあるようですが、往復11~12時間以上かかるという超ハードコースになっています。

 昨年4月下旬に登山計画を立てたのですが、生憎の悪天候のため、順延になっていました。今年もまた計画し、一緒に登る仲間(京都比良山岳会のメンバー)との日程調整の結果、少し早めの4月中旬(14~15日)ということになりました。この時期はまだ白山スーパー林道が中宮温泉まで開通していないので(ゲートから自然保護センターまで徒歩1時間ほどかかる)、ジライ谷とシリタカ谷の間の尾根コースは無理と判断し、それならテント泊とし、山毛欅尾山経由の尾根コースを選択することにしました。ただ、ヤマケイ2011年4月号や日本二百名山登山ガイドのように、中宮温泉スキー場の駐車場から尾添川沿いの林道歩きをすると、中宮発電所の貯水池まで1時間40分もかかることから、一里野温泉スキー場の駐車場から中宮発電所に下り、そこから導水管に沿った階段を登り、貯水池に出るという方法を取ることにしました。

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 山毛欅尾山を越えたあたりからの眺望(左から大笠山、笈ヶ岳、冬瓜山)



【アクセス】京都東IC-米原JCT-小松IC-R360-R157-R360-一里野温泉スキー場(駐車場)

 今回は京都比良山岳会のメンバー3人とコラボ山行することになり、烏丸御池に集合し車1台に4人分の荷物を詰め込んで(今回はテント泊なので荷物が多い)、午前4時に出発です。空から雨が落ちている生憎の天気でしたが、予報では午後からは雨も上がり、笈ヶ岳登山の15日は晴れるということでした。

 8:30に一里野温泉スキー場の駐車場に到着。スキー場はすでに3月25日に営業を終了していてがらんとしています。身支度を整え、小雨の中、9:00に出発です。国道を少し戻ると、右手側に中宮発電所へ下りる道があり、送電線の鉄塔の横を通って下っていきます。やがて尾添川にかかる橋があり、これを渡ると中宮発電所がありました。この発電所の裏手の山腹に水力発電のための導水管が設置されているので、導水管に沿って階段を登っていきます。これがまた急な登りになっていて、何段あったか数えていませんが、数百段はあったでしょう。カッパを着ていたので、階段の登りで大汗をかいてしまいましたが、いつしか雨は上がりました。

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 駐車場から、これから登っていく山毛欅尾山を見上げる
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 送電線の鉄塔の横を通って下っていきます
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 尾添川にかかる橋を渡ります
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 中宮発電所の裏手にある導水菅に沿って登っていきます
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 大汗をかきながら登っていくと、いつしか小雨が上がりました
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 中宮発電所の貯水池にやってきました

 30分ほどで上部にある貯水池に出てきました。ここが山毛欅尾山への取り付きなっています。貯水池の奥にある杉の植林の中を登っていくのですが、最初から雪がついていています。先行するトレースもありません。植林帯の中を抜け出ると自然林の急登になっています。30分ほど登ると、P1058のカンタの山と呼ばれるピークに着きますが、通過点のようなところなので気づかず通過してしまうかも知れません。次第にブナの木が多くなってくるとともに、雪の量も増えてきました。20~30㎝くらいの沈み込みでしたが、たっぷりと水分を含んだ雪が重く体力を消耗するので、先頭を交代しながら進みます。山毛欅尾(ぶなお)山の手前で右にカーブしていきます。このあたりから右に白山が見えるのですが、今日はガスに覆われて眺望が得られません。ブナ林の中の急登を登り切ったところに山毛欅尾山(三等:点名山毛欅尾:標高1365.1m)の山頂があり、広くなっています。ここからも白山が眺望でき、またこれからめざす笈ヶ岳や大笠山の眺望があるはずでしたが、やはりガスっていて見えません。いつの間にか12:50になっています。ここで遅めのランチタイムにしました。

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 貯水池の裏手から取り付くと、いきなりの急登になります
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 結構しんどい登りです
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 植林帯の中も通過していきます
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 カンタの山と呼ばれるピークを通過しています
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 ブナの木が見られるようになってきます
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 山毛欅尾山に向けての登りです
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 20~30㎝くらいの沈みですが、重たい雪に消耗します
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 山毛欅尾山の山頂は広い空き地になっています

 ランチ休憩後、山毛欅尾山から尾根伝いに冬瓜平をめざします。山毛欅尾山からは、これから歩く稜線が眺望できます。結構太い幹のブナが林立している尾根を緩やかに下りながら、小さなアップダウンを繰り返していることがわかります。次のピークP1271では、正面に大笠山と笈ヶ岳を眺望することができます。P1271からP1312にかけての登りでは少し藪が露出している部分もありました。GWの頃だとかなりヤブこぎになると思われます。P1418を通過すると、間もなく冬瓜平と冬瓜山との分岐点にやってきます。もう時刻は15:30になっています。9:00に出発していますので、途中の休憩時間を除いても、6時間近いタイムになっています。4月半ばと少し時期が早く、今年は積雪量も多かったことに加えて、前日の雨で重雪になっていたことで、時間がかかってしまったと思われます。幕営地として紹介されている冬瓜平はもう少し下った平坦地ですが、明日は冬瓜山に登ることから、冬瓜平手前の分岐点付近に平坦地を探して、テントを張ることにしました。

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 山毛欅尾山を越えて進んでいきます
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 P1271まではかなり長い下りがあります
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 大きなブナも出てきました
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 小さなアップダウンもあります
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 雪庇のある尾根を通過しています
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 P1271はちょっとした展望地になっていますが、ガスがあって眺望はイマイチです
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 少し青空が見えてきました-天気も回復傾向です
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 時間がかかりますが、まだ元気に歩きます
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 いい感じのブナ林の中を通過します
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 気持ちが和んできて、いいですね
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 冬瓜平も近くなってきました

 テント設営をして、早速夕食の準備です。N野氏が買い出してくれたきのこ汁の具材は、白菜、ネギ、椎茸、えのき、シメジ、豚肉等々で、何と6人前もありました。みそ仕立てのきのこ汁は、明日の朝食分を残して、あっという間になくなってしまいました。夕方からは晴れ上がってきて、夕焼け空がきれいでした。明日の晴天が約束されているかのようです。食後はシングルモルトのウイスキーをやりながら山談義をしていましたが、いつしか疲れと酔いが回ってきて、19時半頃には寝入ってしまいました。

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 夕焼け空がきれいでした-明日の好天を約束してくれているようです

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 この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平20業使 第438号)

<コースタイム>
900一里野温泉スキー場 925中宮発電所 1010貯水池 1145カンタの山 1245山毛欅尾山1315 1405P1271 1445P1312 1515P1418 1525幕営地


by kitayama-walk | 2012-04-14 23:18 | 日本二百名山 | Comments(0)


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