2010年 04月 04日
4月4日(日曜) 曇り時々晴れ 単独行 この時期、鈴鹿の御池岳と藤原岳の二つの山は大人気ですね。これまでフクジュソウ鑑賞山行で何度も登ってきました。今回は、この二つの山を一日で両方登ってしまおうという欲張りな山行を計画しました。今回は単独行なので置き車はできないので、ピストンか周回になります。となれば、藤原岳登山口に駐車し、表登山道か裏登山道から藤原岳に登り、県境稜線を縦走して、御池岳までピストンするか、あるいは鞍掛トンネルかコグルミ谷登山口に駐車し、御池岳から藤原岳へピストンするかでしょう。 しかし、今回は周回コースと滋賀県側からのアプローチにこだわってみました。そうすると、茶屋川林道を遡り、廃村茨川からのアクセスになります。茨川から茶屋川を遡行し、真の谷をつめて御池岳に至ります。それからカタクリ峠に下山し、冷川岳-白瀬峠-頭蛇ヶ平-天狗岩-藤原岳と県境稜線を縦走し、藤原岳展望丘から西尾根を下り、蛇谷分岐で茶屋川に合流し、廃村茨川まで戻ってくるというコース設定になりました。 <本日のコース> 廃村茨川-蛇谷分岐-三筋滝-白瀬峠分岐-八合目-御池岳(丸山)-ボタンブチ-奥の平-御池岳-幻池-七合目-カタクリ峠-冷川岳-白瀬峠-頭蛇ヶ平-天狗岩-藤原山荘-藤原岳-P893-蛇谷出合-廃村茨川(歩行距離約20㎞) 今回の登山口は滋賀県側の廃村茨川。2年前の08/4/4に藤原岳西尾根を登ったときに初めてやってきたところです。R421から分岐する茨川林道(全長10.5㎞)は未舗装の地道で、水たまりがたくさんあり、速度が出せず30分ほどかかった記憶があります。名神八日市ICからR421に入り、永源寺方面をめざします。道路情報には「神崎橋より先は通行止め」と表示されています。これは一昨年9月の集中豪雨のため大規模な土砂崩れが発生したことが原因で、今も三重県側には通り抜けることができません。滋賀県側の道路も復旧工事が続いているのですが、どこまで進行しているのかよく分からなかったのですが、神崎橋より先も通行は可能な(県境の石榑峠は通行できない)ことはわかっていました。神崎橋を通過すると、工事現場が続いていますが、時々迂回しながらも通行することができます。やがて茨川林道との分岐点にやってきましたが、2年前と様子が全く違っていました。 茨川林道に入ると、予想どおり、未舗装の地道となり、水たまりがたくさんあります。雪解け後の落石も結構ありましたが、これは道端に退けられていて、通行に支障はありませんでした。とにかくこの林道は長いです。1箇所だけ小さな土砂崩れの跡があり、林道に斜めに堆積していましたが、ゆっくりと進めば車のまま通行することができます。折戸トンネルを抜け、いくつもの橋を渡り(茶屋川の右岸、左岸に林道はついています)、30分ほど我慢の林道走行を続けると、ようやく林道終点の廃村茨川に辿り着きました。この林道は、昭和29年に完成していますが、実は当初民間会社が製紙用チップの原木を運搬するために太夫谷まで林道はつけられたが、そこまで来たのならということで残りは茨川の各世帯が山の持分に応じた負担金を拠出して林道は完成したとのことである。 廃村茨川には、2つの小屋があります。ひとつは、八工(八幡工業高校)山岳部の小屋で、昔、政所小学校茨川分校があったところだそうです。もうひとつは名古屋大学ワンゲル部の小屋で、昭和40年に最後に離村した筒井睦雄氏の自宅だったそうです。 さて、廃村茨川からは茶屋川を遡行していきます。すぐに左手に天照神社があります。鳥居と小さな祠は村人たちの往時の信仰を想像させてくれます。前回も茶屋川の中を歩いたのですが、今回は前日の雨のため増水しているので歩けないかと心配しました。しかし、増水はしていたものの、歩けないわけではありませんでした。ただ、何回も何回も徒渉を繰り返すことになります。その都度、一歩二歩靴が水没してしまいます。こんなこともあろうかと、靴とスパッツに入念に防水を施してきたおかげで浸水はほとんどありませんでした。30分ほど歩くと、蛇谷出合にやってきました。ここは川が大きく左手に蛇行しているところで、この間に西尾根への取り付きがあります(帰りはここに戻ってくる予定です)。この蛇谷には銀山があり、江戸時代中期に最盛期を迎えたと言われています。 蛇谷出合を右に見送り(西尾根の取り付きに標識があることを確認)、次は三筋滝をめざします。 ここからは未踏領域に入りますが、茶屋川の中を歩くことは変わりません。前方に特徴のある山容は見えてきました。これは藤原岳から歩いて行ける天狗岩です。茶屋川から見上げる光景はまた格別のものがありました。川幅が狭まったり、広まったりしながら進みます。やがて、前方に筋を引いて落ちる滝が見えてきましたが、これは三筋滝でした。名前のとおりであれば、3本の筋を引きながら落ちているところでしょうが、今は右側の1本しか落ちていませんでした。水量が減ったのかも知れません。 三筋滝は高さ15mくらいでしょうか。ここは左を高巻くことになります。左手を見ると、崩れた斜面にロープが1本下がっていました。このロープを頼りによじ登り、次いで右手にトラバースしていきます。今日のコースでも最も危険な箇所ですが、ロープがあるのでこれを利用しながら慎重に滝上に進みます。 次第に水量は減ってきて、谷も狭くなってきました。前方に送電線の鉄塔が2本見えてきました。間もなく左手に土倉岳への分岐があるはずですが、見逃してしまいました。やがて高さ7mほどの小さな滝に突き当たりました。ここをよじ登ることができないわけはないと思いましたが、慎重に少し引き返して右手を高巻いて通過しました。無名滝を越えると水がなくなり、伏流になっているのでしょう。次の目印は白瀬(白船)峠への分岐点です。これがなかなか見つかりません。見逃したのかなと思いながら進んでいると峠への分岐点に出合いました。地形図や登山地図に書かれている分岐点とはかなり北に寄ったところです。この分岐点には平地があり、テント場になっていて、焚き火の跡が残っていました。 次は真の谷を遡り、コグルミ谷からやってくる御池岳登山道の八合目地点をめざします。途中で前方から60代と思われる男性2名がやってきました。聞くと、土倉岳に登るとか。茨川から真の谷を登ってきたというと驚かれる。土倉岳への取り付きを尋ねられたが、生憎見落としてしまったと正直に話すが、登山地図によると最初の送電線の真下付近だと答えておきました。それから、白船峠の分岐が間もなくあると。真の谷をそのまま遡行すれば、八合目に出合うと思い、谷を詰めて行ったのですが、いつの間にか右手の支谷に入り込んでしまったようです。GPSを見ながら軌道修正します。左手の尾根をひとつ越えていけば、八合目付近に出られることが分かりました。ちょっと急登でしたが、元に戻ることができました。右手の登山道から数名の登山者グループが尾根を越えて真の谷出合に下ってくるところでした。 八合目から少し行くと、今後は御池岳(丸山)に登る分岐があります。ここで左に向かい、谷に沿って登っていくことになります。次第に足下が悪くなり、雪解け後の泥んこ状態になりつつありました。転ばないように足を運ぶとやがて九合目にやってきて、この先は残雪が出てきました。泥んこ状態より残雪の方がありがたいです。足で蹴り込んで登ればいいのですから。10時15分に御池岳最高点の丸山に到着しました。廃村茨川をスタートして3時間15分でした。 さて、丸山からそのまま引き返そうかと思いましたが、まだ時間的余裕もあるので、天狗鼻-ボタンブチ-奥ノ平と周回してみることにしました。天気がよいと景色がよく見えて素晴らしいのですが、今日は雲が慌ただしく流れていて、眺望はあまり望めません。風はさほどありませんが、寒々として光景にはあまり長居する気にならず、駆け足的に周回しました。 御池岳(丸山)まで一度戻ると、十数人の団体さんがご到着しており、賑やかな状態でしたので、そのまま八合目まで下ることにしました。下りは左の尾根沿いに適当に降りていきました。八合目からは県境尾根に登ることにしました。途中に幻池があり、これを確認した後、七合目を通過し、六合目のカタクリ峠にやってきました。 カタクリ峠からは県境稜線を縦走し、藤原岳をめざしますが、白瀬峠までは未踏のコースです。この稜線の道ははっきりしていて歩きやすい。自然林の中をくぐり抜けるように徐々に高度を上げていきます。やがて、P1054の冷川岳(冷川の頭)にやってきました。この付近は少し広がっていますが、標識が架かっているので分かります。さらに直進すると、「冷川岳1050m」の標識が立ててありますが、これは次の小ピークと思われます。ここから少し下ると、見覚えのある白瀬峠に出てきました。ここは3/20に来たばかりです。ここで東京立川からやってきたという60代と思われるご夫婦に会いました。昨年霊仙山に登りよかったので、今年は昨日御在所岳、今日藤原岳に登りにきたとのこと。ここから御池岳までの時間を聞かれたので、2時間弱はかかるというと、今日はちょっと無理と判断し、引き返すことになりました。 白船峠からは登りになり、頭陀ヶ平(1143.4m)に駆け上ります。落ち葉のある自然林の中をどんどんと登っていくと、最初の鉄塔に出てきました。ここには、木和田尾根に下る分岐点があるのですが、最近新しい標識が立てられました。振り返ると、御池岳のテーブルランドが大きく見えています。2つ目の鉄塔のところが頭陀ヶ平の二等三角点があるところです。本日のコースで唯一の三角点です。点の記によると、点名:坂本村、標高1142.9m、埋票M20.10となっています。ここからの眺望はよく、御池岳を始め、霊仙山や伊吹山(今日はガスって見えません)などが見渡すことができます。 頭陀ヶ平から天狗岩をめざします。稜線にはしっかりと登山道がついているので間違えることはありませんが、天狗岩はこのルートから若干外れたところにあります。GPSで確認しながら、天狗岩に直進しました。天狗岩の少し前辺りからフクジュソウが出てきました。2週間ぶりの対面となります。天狗岩からは曇りがちなのですが、まずまず眺望がきき、下山予定の藤原岳西尾根が見えていました。また、朝歩いてきた茶屋川の河原も見えていました。 天狗岩でも長居はせずに藤原山荘をめざします。途中にフクジュソウの群生地があるのですが、3/20に来たときに満開状態だったので、今日は峠を越えていることでしょう。それでも、まだまだかなりのフクジュソウが咲いていました。少し北側の斜面に行くと、まだレアなフクジュソウに対面することができ、写真撮影に時間を取られました。 午後2時までに藤原岳の展望丘に着きたいので先を急がなくてはなりません。藤原山荘に向かっていると晴れ間が出てきました。この時間帯ですが、藤原山荘に到着すると、まだたくさんの登山者がおり、さらに登ってくる登山者までいて、今日は本当にたくさんの人が藤原岳に登ってきたことでしょう(その分、泥んこ状態がひどくなっています)。山荘で休むことなく、そのまま展望丘をめざしました。泥田状態の登山道を少し外れて笹原の中を強引に登ります。展望丘では登山者が少なかったのでしばらく休憩することにしました。 さて、これから西尾根を下ります。2年前に西尾根は登ったことがあるので、おおよその見当がありますが、P893の先からの尾根を下るところを間違えないように注意しなければなりません。山頂直下にはフクジュソウが咲いていましたが、群落とまでは言えません。自然林の中に尾根は結構急ですが、快適に下って行くことができます。右手には樹間から天狗岩が見えています。傾斜が緩やかになると、やがてP893にやってきました。この先で尾根が分かれており、テープがある方向に行ってしまうと、三筋滝の方に行ってしまいます。ここでは左手の西南方向に尾根を見定めて下っていくことになります。やがて右手が植林になってくると正解です。植林が途切れると、雑木林の中をジグザグを切りながら下っていきます。このあたりはテープがあるので確認しながら下ります。瀬音が聞こえてくると、蛇谷との出合に着地しました。 蛇谷出合まで降りてくるとやれやれです。時刻は午後3時15分。廃村茨川まで30分なのでまずまずのペースで歩くことができます。帰りは楽な気持ちで茶屋川の河原を徒渉しながら歩きました。泥で汚れた靴やスパッツが川の水で自然と洗われてきれいになりました。廃村茨川まで戻ってくると、車がもう1台駐車していました。西尾根を登ったのか、あるいは伊勢谷を遡ったのか、どちらかでしょう。 帰りも茨川林道を30分ほど走ります。R421に出て、帰りには永源寺温泉「八風の湯」に立ち寄りました。ここの入浴料は1500円とちょっと高い(タオル、バスタオル、館内着付き)。携帯メール会員になった特典(1回無料)を使って入浴することにしました。ゆっくりと疲れを癒して帰途についたのですが、八日市ICから高速に乗ると20㎞ほどの大渋滞でした。高速1000円も善し悪しですね。 <コースタイム>100404曇り時々晴れ 700廃村茨川 730蛇谷分岐 800三筋滝 910白瀬峠分岐 950八合目 1005九合目 1015御池岳(丸山) 1030ボタンブチ 1040奥の平 1055御池岳 1115幻池 1125七合目 1130カタクリ峠 1155冷川岳 1200白瀬峠 1235頭陀ヶ平 1300天狗岩 1350藤原山荘 1410藤原岳1420 1450P893 1515蛇谷出合 1545廃村茨川
by kitayama-walk
| 2010-04-04 23:16
| 鈴鹿山系
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